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東電慰謝料を指針超に増額 国の責任は認めず 福島・浜通り古里喪失訴訟

 東京電力福島第1原発事故で宮城、岩手両県などに避難した福島県浜通りの住民83人が、古里を失った慰謝料など計34億4175万円の損害賠償を東電と国に求めた集団訴訟の判決で、仙台地裁は11日、東電に住民77人への計1億4458万円の支払いを命じた。国への賠償請求は棄却した。住民側は控訴する方針。

 村主隆行裁判長は、2010年3月ごろまでに国は巨大津波襲来の可能性を認識し東電に対策を命じる規制権限を行使する義務があったと指摘。国の違法性については「研究途上だった発電所の水密化などを命令することは現実的に考えにくかった」と否定した。
 東電に対しては、02年に政府機関が公表した地震予測の長期評価に基づく津波の試算結果を国に迅速に報告しなかった点など対応の悪質性を強調し、慰謝料を増額すべき事情とした。
 「地域の生活状況が変容した」などと大半の住民に古里喪失の慰謝料を認定。国の賠償基準の指針を超え、帰還困難区域に一律50万円、居住制限区域に同100万円などと慰謝料の上積みをそれぞれ命じた。
 その上で、居住年数などに応じ、一部を除き50万〜100万円を増額。放射性物質への健康不安に対する慰謝料も独自に算出した。
 判決後、仙台市内で記者会見した住民側の鈴木宏一弁護士(仙台弁護士会)は「国の責任は認められなかったが、損害の評価は相当にいい判決だ」と評した。原子力規制庁は「新規制基準への適合性審査を厳格に進める」、東電は「判決内容を精査し対応を検討する」との談話を出した。


2020年08月12日水曜日


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