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震災犠牲者179柱 10度目の帰れぬ盆 岩手、宮城の16市町が遺骨保管

身元不明の遺骨を前にお経を上げる中村住職=11日、仙台市青葉区の市葛岡墓園管理事務所

 東日本大震災から10度目のお盆を迎える中、岩手、宮城両県の自治体が震災犠牲者計179柱の遺骨を保管している。歯や骨の一部が多く、身元の特定が困難なケースが少なくない。中には身元が分かっていても引き取り手がいない遺骨もある。
(報道部・菊池春子、鈴木拓也)

 河北新報社が8月上旬、岩手、宮城、福島3県の沿岸37市町村に聞いた結果、岩手、宮城両県の16市町が自治体の納骨堂や地元の寺院などで遺骨を保管していた。福島県の自治体が保管していた遺骨は全て遺族に引き渡された。
 県別の内訳は表の通り。自治体別で最も多いのは岩手県大槌町の65柱。石巻市27柱、気仙沼市25柱と続く。
 2014年7月の聞き取りでは3県で223柱あった。17年8月に189柱に減ったが、年月の経過とともに身元の特定が困難になっている。
 両県とも保管している遺骨の多くは骨などの一部。宮城県警は「既に身元が判明した人や、震災でけがをした人の体の一部の可能性がある。部分遺骨はDNA型鑑定による特定が困難な場合もある」と説明する。
 遺族の死亡や高齢化などの課題もある。石巻市では今年7月までに、新たに3柱が遺族に引き渡された。地元で近親者が見つからず、遠縁の親族を捜したこともあったという。
 県警捜査1課の菅原信一検視官は「県警ウェブサイトに不明者の情報を載せており、情報を寄せてほしい。最後の一人まで特定したい」と強調する。
 宮城県女川町など3市町は、身元が分かっても引き取る遺族がいない遺骨8柱を保管している。多賀城市の5柱は全て身元が判明しているが、生前の付き合いが薄いなどの理由で引き受ける親族がいないという。
 自治体の保管が長期化する中、民間有志による慰霊も続く。大槌町はお盆の時期に町民が納骨堂で献花する。宮城では宗教関係の有志が11年6月から毎月、仙台市青葉区の市葛岡墓園で身元不明者らの遺骨を供養している。
 9年5カ月の月命日となった11日には、若林区の愚鈍院の中村瑞貴住職(60)が供養した。中村住職は「家族の元に帰れない方々であり、お盆の供養は特別な思いがある。一人一人の尊厳に思いを寄せ、今後も慰霊を続けたい」と話した。


2020年08月14日金曜日


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