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東北にいざなう文化財の宿 「阿専」(秋田・羽後)山あいに明治の豪邸

農家民宿とカフェを切り盛りする阿部さん
山あいのひなびた風景を望める客室

 東北には文化財に指定されるなどした歴史ある建造物を活用し、旅行者を受け入れる宿泊施設が各地にある。農村部の古民家や山間部の湯治場など、自然豊かな風景とともにくつろぎの時間を提供する趣深い宿を紹介する。

 標高約300メートル、秋田県羽後町田代地区の山あいにある。建物の前を小川が流れ、ソバ畑が広がる。これからの季節は宿泊客から「BGMを流してるんですか?」と尋ねられるほど虫の音が響く。
 明治中期に建てられた古民家を改装し、農家民宿として2018年4月に開業した。5人までの1日1組限定で一棟貸し切りで利用できる。
 夕食はイワナの炭火焼きなどを出し、食べ物やアルコールを持ち込める。朝食は自家製野菜を中心に提供する。トイレとユニットバス、洗面台を改装時に設け、快適性にも気を配る。
 屋号の「阿専」は代々の当主が世襲した阿部専右衛門の名にちなむ。林業で成功した明治中期に資材を集め、正面に入り口が突き出た中門(ちゅうもん)造りの豪壮な私邸を建てた。隣にある蔵や小屋とともに06年、国の登録有形文化財に指定された。
 11年以降は住む人がいなくなり、オーナーの阿部英之さん(39)は解体を検討した。だが地元の友人の反対や周囲の助言もあり、「建物を残した方がいい」と考えを変えた。民宿を始めるため秋田市から帰郷した。
 昨年まで外国人を含めた県外からの客が多かったが、新型コロナウイルスの影響で県内客が中心になった。阿部さんは「忙しさを忘れて、ゆったりとした時間を過ごしてほしい」と呼び掛ける。

[メモ]秋田県羽後町田代尼沢140。7日前までの予約が必要。1泊2食付きで1人1万円。昼は食堂でカフェを営業する。連絡先は080(5843)8099。


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2020年08月11日火曜日


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