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福島の農業を応援 東京・外国人グループ発足1年、風評払拭へ母国に発信続ける

講演会の開始前、斉藤さん(左)と打ち合わせをするアブラハムさん

 東京電力福島第1原発事故からの復興へと歩む福島県の農業を応援しようと、東京都東久留米市の外国人グループが地道な活動を続けている。一部の国と地域では、原発事故を理由にした県産農林水産物の輸入規制を継続している。発足して1年。メンバーは「母国に福島県産物のおいしさを積極的に発信し、風評被害の払拭(ふっしょく)に協力したい」との思いを強くしている。
 東久留米市役所内のホールで7月28日夜、二本松市の農家斉藤登さん(61)が市民約50人に農業再生への思いを伝える講演会があった。
 主催したのは米国、オーストラリアなど約10カ国の60人でつくる「福島県の復興を支援する東久留米在住外国人の会」。斉藤さんは、山菜類を除けば県産物から放射性物質はほとんど検出されておらず、安全性が確認されたものだけが流通している現状を説明した。
 外国人の会会長で、インド出身の飲食店経営ソービ・トーマス・アブラハムさん(58)は「原発事故直後の混乱した福島の姿しか知らない外国人がいまだに少なくない。生産者からじかに話を聞けば、県産品への不安はなくなる」と語った。
 斉藤さんは「福島を応援してくれる外国人のグループは珍しく、心強い。農家への共感を広げてもらえてうれしい」と感謝する。
 外国人の会は、東久留米市福島県人会の協力を得て昨年7月に結成。福島市でのナシ狩りや、二本松市の田んぼ見学などの訪問ツアーを行ったほか、アブラハムさんの店の前で県産野菜や加工品を展示販売するといった活動を繰り広げてきた。メンバーたちは、農家との交流の模様を会員制交流サイト(SNS)で母国の友人に紹介することにも力を注ぐ。
 新型コロナウイルスの感染拡大で今年は福島への訪問ツアーを見合わせているが、アブラハムさんは「自分の店で福島産食材をたくさん活用している。今できる支援を考えたい」と強調した。

[福島県産農林水産物の輸入規制]東京電力福島第1原発事故の発生直後、計54の国・地域が福島県や岩手、宮城など周辺県の農林水産物と加工品の輸入規制措置を講じた。農林水産省輸出先国規制対策課によると現在、米国、韓国、台湾など6の国・地域が福島県産などの全食品、または一部品目の輸入停止を継続している。14の国・地域は安全確認証明書の添付を求めるなどの規制措置を取る。34の国・地域は規制を撤廃した。


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2020年08月15日土曜日


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