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自分らしさ出し戦えた 新碁聖・一力遼八段

一力遼新碁聖

 自身6度目のタイトル挑戦となった第45期碁聖戦5番勝負で、羽根直樹碁聖(44)に挑んだ。開幕から連勝し、14日の第3局に勝利して初の七大タイトルを獲得した。今期の碁聖戦を対局者の視点から振り返った。

 昨年の碁聖戦は羽根九段に挑戦者決定戦で敗れ、タイトル挑戦をあと一歩のところで逃した。今期も挑戦者決定戦に進出。相手は羽根九段と同じ「平成四天王」の一人、張栩九段(40)だった。
 10年以上前。私がプロを目指していた頃に、地元の仙台で碁聖戦が2回開催された。当時の碁聖はいずれも張九段。初めてトップ棋士を間近で見て、感銘を受けたのを覚えている。その張九段を破り、初めて碁聖戦の挑戦手合に出られたのは感慨深かった。
 タイトル戦の出場は2年前の王座戦以来、約1年半ぶり。その間、早碁棋戦で準優勝が続いたり、タイトルへの挑戦者を決めるリーグ戦では重要な場面で負けたりと、大一番で結果を出せないことが多かった。そのため、今期の碁聖戦に懸ける思いは強かった。
 羽根九段は長きにわたり、第一線で活躍されている棋士である。盤上はもちろん、盤外でもお手本となる部分が多く、棋士のかがみといえる存在だ。今回も、食事のメニューを決める際の配慮や空調温度についての声掛けなど、トップ棋士としてのあるべき姿を学ぶことが数多くあった。
 第1局は序盤からずっと互角の展開が続いたが、終盤でわずかに抜け出した。そのリードを保ち、最後は僅差の勝利。久しぶりのタイトル戦で、先勝できて気持ちが楽になった。
 第2局は中盤まで互角だったものの、こちらが緩着を打ち劣勢に。しかし、時間が切迫する中で放った手が相手のミスを誘い逆転勝ちした。シリーズを振り返ると、この対局を制することができたのが大きかった。
 第3局は中盤でリードを奪ったが決め手を逃し、どちらも成算の持てない「闇試合」に。ただ、逆転までは許さず、最後は相手の石に生じた隙を突いて勝利をつかんだ。
 内容はどの碁も紙一重の勝負で、3連勝という結果は出来過ぎだが、全体的に自分らしさを出して戦えたのは良かった。
 最後に、仙台にいた頃からお世話になっている師匠の宋光復先生、道場で修業する機会を与えてくださった洪清泉先生、そして子どもの頃から応援していただいた仙台の方々には改めて感謝申し上げたい。今回の碁聖獲得を励みに、他のタイトル戦や国際戦でも活躍できるよう精進したい。

[いちりき・りょう]2010年にプロデビューし、17年八段。14年、若手の国際棋戦、グロービス杯で優勝。同年新人王戦優勝。七大タイトルには16年の天元戦をはじめこれまで5度挑戦。19年、NHK杯優勝。竜星戦(2連覇中)など早碁棋戦での活躍が著しい。早稲田大を3月に卒業。河北新報社に入社し、東京支社編集部に在籍。仙台市出身、23歳。


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2020年08月16日日曜日


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