岩手のニュース

民宿に乗り上げた観光船の復元を断念 岩手・大槌、寄付集まらず

撤去前のはまゆり=2011年5月
解体される民宿。屋上にはまゆりが乗り上げた

 岩手県大槌町は20日、東日本大震災の津波で同町赤浜地区の民宿に乗り上げ、撤去された観光船「はまゆり」(110トン)の復元を断念する方針を示した。財源に充てるために募っていた寄付が低調なため。今後は復元以外での伝承の在り方を模索する。
 観光船が津波の脅威を伝えるモニュメントになるとして、町は2012年に「災害の記憶を風化させない事業基金条例」を制定し、寄付を募っていた。復元には4億円以上の費用が見込まれるが、今年7月末までの寄付は395万873円にとどまる。
 町は寄付の状況から復元は困難であると判断。20日の町議会全員協議会で断念の方針を説明した。復元に向けて活動する町のNPO法人「はまゆり復元保存会」や地区住民と効果的な方法を検討したい考えで、模型や拡張現実(AR)などが候補に挙がる。
 今も残る民宿の建物については所有者の同意を受け、9月の町議会定例会に解体費用4000万円の予算案を提出する。基金条例は、保存会の合意が得られ次第、復元以外の伝承事業に基金を充てられるよう改正する。
 はまゆりは釜石市の観光船で、大槌町の造船所で点検中に津波に巻き込まれた。高さ約10メートルの民宿屋上に乗り上げ、復旧工事に支障が出るとして11年に解体された。
 はまゆり復元保存会の古舘和子会長は「会員と相談し方針をまとめる。町はきちんと話し合ってほしい。民宿は貴重な震災遺構なので、全て解体するのではなく一部は保存してほしい」と話した。


2020年08月20日木曜日


先頭に戻る