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建設石綿被害提訴へ 東北の元労働者と遺族が国・企業に2億3000万円請求

建設現場での石綿被害を巡り、国などを提訴する意向を表明した小野寺弁護士(右)ら元労働者側弁護団=19日、仙台市青葉区

 建設現場の労働に従事しアスベスト(石綿)を吸い込み、罹患(りかん)または死亡したとして、宮城や岩手などの元労働者と遺族計9人が国と建材メーカー12社に、計2億3100万円の損害賠償を求める訴えを近く、仙台地裁に起こす。元労働者側の弁護団が19日、明らかにした。同様の訴訟は2008年から全国で起こされ、東北では初の提訴になるとみられる。
 弁護団によると、原告は60、70代の男性各1人と死亡した4人の遺族7人となる見通し。個人事業主も含む。元労働者1人当たり3850万円の損害賠償を求める。26日に提訴する予定。
 元労働者6人は過去に、建設現場で建材に含まれた石綿の粉じんを吸引し、悪性中皮腫や肺がんなどと診断された。
 元労働者側は訴訟で、石綿の危険性を認識しながら建設現場で防じんマスクの着用を義務付けなかったなどとして、国の対応の違法性を指摘する。注意喚起せず、石綿の使用を止めなかったメーカーの責任も問う考えだ。
 元労働者側の小野寺義象弁護団長(仙台弁護士会)は「深刻な被害を東北でも、しっかり救済したい」と語った。
 建設現場での石綿被害を巡っては、全国で遺族を含む1000人以上が国などを提訴。京都地裁や東京高裁といった先行訴訟の判決12件の大半が国の責任を認めた一方、個人事業主を救済対象とするかやメーカーの責任を認めるかについて、判断が分かれた。

[アスベスト(石綿)]潜伏期間が数十年に及ぶ発がん性物質。安価で断熱性などに優れるとされ、建材を中心に全国でこれまでに約1000万トンが使われた。2006年に原則使用禁止、12年に完全禁止となった。国によると、石綿を使った建物は全国に約280万棟あり、28年ごろが解体のピークになる見込み。


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2020年08月20日木曜日


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