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「女子大生の日」ホントはきょうなのに・・・ 日付誤認の理由は?

国立公文書館は女子大生の日を8月16日と誤解したままツイートし、その後訂正した

 「女子大生の日」は8月21日なのに、世間では8月16日と信じられている―。東北大の前身、東北帝国大が日本で初めて女性3人に入学を許可した日に由来する記念日が、日付を間違って語られる例が多い。なぜ誤解されているのか。その理由を探った。
(報道部・末永智弘)

 インターネットで検索すると、「8月16日は女子大生の日」と紹介するサイトが複数ヒットする。1913(大正2)年のこの日、東北帝国大が女性3人の合格を発表した、との記述がある。
 東北大に確認すると、16日は東京朝日新聞が「女性3人が入学を許可され、16日の官報で発表される」との記事を掲載した日だという。ところが実際の官報に掲載されたのは8月21日だった。
 東北大の大隅典子副学長は、8月16日という誤った日付が記事やインターネットで話題になることが気になっていたという。そこで東北大はことし6月、日本記念日協会(長野県佐久市)に8月21日を「女子大生の日」として申請し、7月に登録された。

 しかし、東北大の動きは世間にあまりに認知されなかったようだ。行政文書を管理、保存する国立公文書館は8月16日、「今日は女子大生の日」と誤った情報を会員制交流サイト(SNS)に投稿してしまった。
 SNSの担当者によると、1999年に出版された「記念日の事典」(東京堂出版)に8月16日は女子大生の日と掲載されており、根拠にしたという。
 仙台市立市民図書館で「記念日の事典」をチェックすると、確かに8月16日が「女子大生の日」となっていた。本で取り上げられれば、信用度はグンと上がる。16日説が定着した要因の一つと言えよう。
 ただ、わざわざ「今日は何の日?」ということで本を引っ張り出す人は少数派だろう。8月16日説が広まった理由は他にあるのではないか。ヒントは意外なところからもたらされた。

 「カーナビが女子大生の日を間違えたままだぞ」。先輩の一言にハッとした。
 一部のカーナビは、その日最初に起動したとき「今日は○月△日です。□□の日です」との音声案内が流れる。どうやら8月16日が「女子大生の日」になっているらしい。ツイッターを検索すると、「カーナビが女子大生の日と教えてくれた」との投稿が8月16日にいくつも見つかる。
 まとめると、新聞記事を基に、8月16日に日本初の女子大生が誕生したこととされ、本にも取り上げられた。その後、インターネットで情報が広まり、一部カーナビの影響もある、と考えられそうだ。

 実は私もネット情報を基に「女子大生の日」は8月16日と思い込み、記事にする寸前だった。
 8月上旬、「16日は女子大生の日」という原稿をほぼ書き終えていた。念のためと考え、東北大に電話し「東北帝国大が8月16日に日本で初めて女子大生の入学を許可した、ということでよろしいですね」と確認した。
 返事を聞いて冷や汗が出た。
 「それ、間違いです。本当は8月21日です」
 「ええっ?」
 慌てて経緯を詳しく聞き、日本記念日協会にも確認。朝刊に「正しい日を東北大が登録」との記事を書いた。このような経緯があったので、国立公文書館の誤ったツイートにも気付いたというわけだ。
 しかし、自分も同じわなに陥りかかっていた。やはり当事者に確認するのが取材の基本だと痛感した。
 なお、一部カーナビが8月16日を女子大生の日とした根拠など、気になるが分からない点も多い。これも何かの縁だろう。取材を継続したい。


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2020年08月21日金曜日


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