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Jヴィレッジの指定廃、公表せず2年保管 東電「管理に支障」

指定廃が2年間にわたり保管されていたJヴィレッジ

 東京電力福島第1原発事故の対応拠点となったサッカー施設Jヴィレッジ(福島県楢葉町、広野町)で2年間にわたり、放射性物質を含む指定廃棄物の保管が伏せられたまま施設利用されていた。既に全量搬出されたが、関係する県と東電はともに「Jヴィレッジかどうかを含め保管場所は公にしない」との姿勢。公共性の高い施設で放射性廃棄物の情報を開示しない対応に、疑問の声も出ている。(福島総局・斉藤隼人)

 指定廃には1キロ当たり8000ベクレル超の放射性セシウムが含まれる。東電は原発事故対応で県から施設を借り受け、2018年6月の返還前に原状回復工事を実施。その際、指定廃に相当する廃プラスチックと汚泥計72立方メートルが生じ、空間放射線量は毎時0.27マイクロシーベルトだった。施設は翌7月、営業を再開した。
 指定廃は一般に各市町村からの申請に基づき国が速やかに処理するが、原発事故を起こした東電は申請者になれない。
 東電は申請に必要な準備を整えないまま、県が事務局を担う一般財団法人に施設を返還。関係者によると、廃棄物は財団法人の申請に基づいて今月4日に搬出されるまで、敷地内で保管され続けた。
 県側は廃棄物の存在を施設返還時に把握した。所管するエネルギー課は「管理責任は(施設返還後も)東電にある」と主張。保管場所を公表するかどうかについては「東電が判断すること」としつつ、風評被害や復興への影響を念頭に「慎重に対応してほしい」と東電に求めていたという。
 東電は「場所を明かすと関心を持った人が訪れ、安全管理に支障が出る」と非公表を決めた。この方針を県は追認し、公表を促さなかったという。
 県は取材に「空間線量が周辺とさほど変わらず、安全に問題はない」と判断の妥当性を強調した。

 一方、申請に2年かかった理由を同課は「必要な手続きに関して東電との間で意思疎通が十分でなく、先送りしていた」と釈明。東電も「より責任を持って対応すべきだったと反省している」と述べた。
 京都大の米田稔教授(環境リスク工学)は「健康リスク上は問題なくても(安全性について情報を共有する)リスクコミュニケーションの観点からは、行政は積極的に情報公開した方が良かったのではないか」と指摘する。
 19年度、Jヴィレッジには49万人が来場した。東京五輪の聖火リレー出発地でもある。


2020年08月24日月曜日


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