福島のニュース

「聞き書き平成の黄門さま」渡部恒三さん(7) 非自民連立政権が発足/自民離党 二大政党目指す

2017年09月01日河北新報朝刊

 元衆院副議長の渡部恒三さん(福島県南会津町生まれ)が23日、亡くなった。会津弁で歯に衣着せず政界を斬る姿は「平成の黄門さま」と称された。2017年に河北新報に掲載された記事から、渡部さんの政治家人生を振り返る=年齢、肩書は当時のまま=。

 ◇
 <渡部恒三さん(85)は、衆議院への小選挙区制導入と政治資金の規正強化を柱とする政治改革を巡り、1993年6月に自民党を離党、小沢一郎氏(現自由党共同代表)らと共に新生党を結成する>

 自民党を出たのは、日本の政治に二大政党が必要だという考えからだった。これは昔からの政治哲学でね。大学院時代の研究テーマが政治学者マッケンジーの二大政党論だった。でも、いつまで待っても社会党は政権政党になれない。ならば自分たちが自民党を二つに割ろうということで新生党をつくったわけだ。

 <93年7月の総選挙で新生党は55議席を獲得。自民党は下野し、細川護熙氏が率いる日本新党など8党による非自民連立政権が発足する>

◎「細川案」に賛成
 新生党が比較第1党なわけだから誰もが当然、党首の羽田孜君(8月28日死去)が首相になると考えた。総選挙後、小沢君に相談があると呼ばれてホテルに行ったら「次は細川でいく」と。
 「羽田がかわいそうじゃないか」と反論したんだが、羽田君では自民党から離脱した新党さきがけが自民党にくっつく恐れがあるということで、結局は賛成した。
 ただね、細川さんは(戦前から戦中にかけて3度、総理を務めた)近衛文麿の孫だ。近衛は嫌になると与党にも相談せず辞めちゃうような人だった。
 「大丈夫かな」と言ったら、小沢君も用意がいい。「なべさんがそう言うと思って隣の部屋に呼んである」と。彼に「われわれは命懸けで政権をつくる。簡単に辞めてもらっては困る」とお願いしたんだ。

 <佐川急便からの借入金疑惑や国民福祉税構想が世論の反発を招き、細川首相は94年4月に突如、辞意を表明する>

 首相公邸に呼ばれて行ったら「辞めます」だ。連立与党では当時、小沢君がナンバーワン、俺がナンバー2という位置付けだった。「小沢君には相談してるのか」って聞いたら「してません。家内には相談しています」って驚いたね。室町時代から続く家柄の、お殿様らしいなぁと妙に感心してしまったよ。

 <細川政権の後を継いだ羽田内閣は2カ月で退陣する。その後、自民党が社会党、新党さきがけと組んで政権復帰。非自民勢力は新進党を結成し、渡部氏は副党首となる>

◎小沢氏に存在感
 あの頃の小沢君は存在感があった。小沢君に対し「憎い」とか「いい」とかいう基準で政治が動いていた。自分自身が総理になろうと思えば、なる機会はいくらでもあった。
 小沢君も、いつでも総理になれると考えていたんだろうな。あんなに恵まれていた政治家が今や少数政党の党首だ。政治っていうのは本当に難しいなぁ。

【「聞き書き平成の黄門さま」渡部恒三さん】全10回

(1)73歳で国対委員長に/党の窮地 国民のため受諾
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200824_61030.html
(2)26歳で福島県議に/逮捕と恩赦 国政への転機
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200824_61031.html
(3)角栄氏と出会う/スケールの大きさ 触れる
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200824_61032.html
(4)ロッキード事件/会津の精神で恩義を貫く
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200824_61033.html
(5)七奉行の一人として/竹下総理誕生目指し奔走
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200824_61034.html
(6)党の要職から閣僚に/懸案解決へ 相手の顔立て
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200825_61014.html
(8)歴代最長の副議長/支えてくれた 会津の女性
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200825_61016.html
(9)民主党政権誕生/念願達成も残念な結果に
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200825_61017.html
(10完)政治家は志を持て/歴史つくる気概 東北から
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200825_61021.html


関連ページ: 福島 政治・行政

2020年08月25日火曜日


先頭に戻る