福島のニュース

「聞き書き平成の黄門さま」渡部恒三さん(8) 歴代最長の副議長/支えてくれた 会津の女性

2017年09月02日

 元衆院副議長の渡部恒三さん(福島県南会津町生まれ)が23日、亡くなった。会津弁で歯に衣着せず政界を斬る姿は「平成の黄門さま」と称された。2017年に河北新報に掲載された記事から、渡部さんの政治家人生を振り返る=年齢、肩書は当時のまま=。

 ◇
 <渡部恒三さん(85)は2000年7月、衆院副議長に再び選出される。2期連続の副議長就任は異例。続投の経緯もまた、異例だった>

 野党第1党だった民主党は(元自治相の)石井一君を副議長候補に担いだんだ。俺も石井君に投票した。ところが票を開いてみれば、与党が全部、俺だった。(自民党幹事長だった)野中広務君が石井君を嫌っていたということだったが、よく分からない。
 いずれ国会史上、前例のないことだ。辞退しようしたが、国会で決まったことを断るには衆院議員を辞めなければならないというんで結局、引き受けることになった。

 <副議長の在職日数は2498日に及び、帝国議会を含め史上最長となった。在任中に天皇、皇后両陛下をはじめ皇族方と接する機会を得たのは忘れ難い思い出だという>

◎美智子さまから
 内閣総理大臣、最高裁判所長官と並び国会の議長は三権の長だ。外国から大統領とかが来て、皇族の皆さまと食事をする時なんかは副議長も呼ばれるんだよ。
 副議長を辞める際、妻の二三子(83)と一緒に陛下と(皇后)美智子さまと食事をさせていただいた。その時、美智子さまからありがたいお言葉を頂いた。会津は(戊辰戦争で)賊軍と呼ばれたけど、そうではないと。
 「新しい日本をつくったのは会津の女性ですよ」とおっしゃられた。(社会福祉事業の先駆者として知られる)瓜生岩子や(同志社大創設者、新島襄の妻)新島八重らの名前を次々と挙げられてね。感激したなぁ。

 <政界を引退するまで約50年にわたって政治家生活を支えてくれた二三子さんに感謝する>

 女房は会津若松市で歯科医をやりながら、地元後援会や家のことも文句も言わずにやりくりしてくれた。俺は息子(国際問題研究家の恒雄さん)の面倒も全く見なかった。自分で稼いでくれるもんだから、俺は一銭たりとも議員歳費を家に入れたことはないんだな。

◎苦労掛けっ放し
 苦労を掛けっ放しで、ずっと頭が上がらなかったけど、一度だけ威張ったことがある。副議長最後の年の03年春の叙勲で、勲一等旭日大綬章を頂いた時のことだ。一緒に親授式に出席したんだが、その時だけは「やっぱり、俺と一緒になって良かっただろう」と言ったんだ。そうしたら「はい」と答えてくれたなぁ。
 現役時代は家で食事をすることなんかほとんどなかったんだが、今は三食とも女房と一緒だ。幸せなことに女房に面倒を見てもらっている。だから俺より先に死なないでほしいって、今は陳情しているんだぁ。

【「聞き書き平成の黄門さま」渡部恒三さん】全10回

(1)73歳で国対委員長に/党の窮地 国民のため受諾
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200824_61030.html
(2)26歳で福島県議に/逮捕と恩赦 国政への転機
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200824_61031.html
(3)角栄氏と出会う/スケールの大きさ 触れる
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200824_61032.html
(4)ロッキード事件/会津の精神で恩義を貫く
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200824_61033.html
(5)七奉行の一人として/竹下総理誕生目指し奔走
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200824_61034.html
(6)党の要職から閣僚に/懸案解決へ 相手の顔立て
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200825_61014.html
(7)非自民連立政権が発足/自民離党 二大政党目指す
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200825_61015.html
(9)民主党政権誕生/念願達成も残念な結果に
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200825_61017.html
(10完)政治家は志を持て/歴史つくる気概 東北から
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200825_61021.html


関連ページ: 福島 政治・行政

2020年08月25日火曜日


先頭に戻る