福島のニュース

ユーモアと信念の人 渡部恒三さんが冗舌に語った半生

「おれはいつも歯を出して笑っているから、口を閉じている胸像は似てるかな」と笑う渡部氏=2013年11月13日、福島県南会津町田島の御蔵入交流館前広場

 会津弁丸出しの語り口はいつもひょうひょうとしていた。ユーモアを交えながらエピソードを紹介し、教訓や信念をさらりと語る。多くの人に愛された理由が分かった気がした。
 渡部恒三さんをインタビューしたのは、政界引退から5年近くが過ぎた2017年。会津若松市の鶴ケ城に近い自宅を何度か訪ね、10回連載の聞き書きにまとめた。
 ロッキード事件で逮捕された田中角栄首相を擁護し続けたことについては「親分をかばうのは、江戸幕府を最後まで支えた会津藩の精神」と振り返った。
 幹事長を期待した竹下登内閣で党国会対策委員長を引き受けたのは「(消費税導入を含む)税制改革には国対が最重要ポストだ、と持ち上げられたから」。
 薄れがちな記憶も、水を向けると、たばこをくゆらせながら冗舌に語った。当時の行動の背景には、さらに複雑な戦略や周囲の力学もあったと思うが、言葉には説得力があった。
 政治を志した原点が二大政党制の実現であり、ライフワークだったと強調した。短命に終わった民主党政権に関し、「自分が総理を目指せばよかったかもしれないなぁ」と吐露。一方で「ポストを求めなかったから発言力があった面も確かにあったんだが」とも。
 政権交代後、安倍1強時代が続いている状況を悔しがった。衆院の小選挙区制や政党助成金導入に尽力したが「今の政治状況を見ると失敗だったなぁ。政治家がみんなサラリーマンになっちゃった」と嘆いた。
 「政治家が一番大切なのは国民が安心して暮らせるようにすることだ」。原発事故が起きた福島県の現状に心を痛め、脱原発にかじを切るべきだ、と言い切ったことも印象に残った。
(青森総局長 大友庸一)

【「聞き書き平成の黄門さま」渡部恒三さん】全10回

(1)73歳で国対委員長に/党の窮地 国民のため受諾
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200824_61030.html
(2)26歳で福島県議に/逮捕と恩赦 国政への転機
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200824_61031.html
(3)角栄氏と出会う/スケールの大きさ 触れる
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200824_61032.html
(4)ロッキード事件/会津の精神で恩義を貫く
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200824_61033.html
(5)七奉行の一人として/竹下総理誕生目指し奔走
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200824_61034.html
(6)党の要職から閣僚に/懸案解決へ 相手の顔立て
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200825_61014.html
(7)非自民連立政権が発足/自民離党 二大政党目指す
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200825_61015.html
(8)歴代最長の副議長/支えてくれた 会津の女性
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200825_61016.html
(9)民主党政権誕生/念願達成も残念な結果に
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200825_61017.html
(10完)政治家は志を持て/歴史つくる気概 東北から
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200825_61021.html


関連ページ: 福島 社会

2020年08月25日火曜日


先頭に戻る