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幸福度指標にまちづくり 山形・庄内町が総計中間見直し 経済的豊かさ追求と一線画す

5月に新役場庁舎で業務を始めた山形県庄内町。幸福度指標を取り入れた総計で次の段階に踏み出そうとしている

 経済指標で計れない心の豊かさをまちづくりに生かそうと、山形県庄内町が幸福度指標を取り入れた町総合計画(総計)の見直しを進めている。町条例でまちづくりの最大の目標に町民の幸福の実感を掲げており、東北でも先進的な考え方を実践に移す。
 総計の対象期間は2016〜25年度。本年度が中間見直しの時期であり、主要施策を示す基本計画の後期5年分(21〜25年度)を再策定する。町は幸福度指標を盛り込んだ原案を近くまとめる予定だ。
 幸福度指標は、経済的な豊かさの追求とは一線を画すまちづくりの方向性として全国の自治体で模索され、東北では岩手県や滝沢市が先駆的に導入した。庄内町も「町の憲法」として12年に制定したまちづくり基本条例で、「誰もが幸せを感じられる町」を目指すと宣言している。
 町は14年、現行の総計の策定に先立ち、町民の「満足度」を調査した。回答は町の個別施策に対して好き嫌いに終始する傾向が見られたという。
 担当者は「幸福度という聞き方なら、町民一人一人の人生観が反映される。中間見直しで町民の幸福がかなう町の将来像を示したい。次期総計全体に幸福度を盛り込むための試金石にもなる」と話す。
 昨年7〜8月に実施した町民アンケートではインフラや福祉の満足度といった従来と同じ質問に加え、「どの程度幸福だと実感しているか」を尋ね、そう判断した際に重視した分野を聞いた。
 町は同12月にワークショップを開き、町民が幸福について意見を直接交わす場も設けた。アンケート結果から幸福感を高める上で家族や地域のつながりが重要だと分かったのに対し、町民自身はその点にあまり気付いていないことが意見交換で浮き彫りになった。
 調査やワークショップに協力した東北公益文科大の斉藤徹史准教授(行政法学)は「町民の幸福のためには町民の社会的なつながりを町が支えていくべきだという結論が得られた。幸福度を調べることが町の課題を発見するツールになった」と解説する。
 05年の2町合併で誕生し16年目を迎えた町は、宿願の新庁舎が5月に開庁。総計も見直し、次のステップへ踏み出そうとしている。
 原田真樹町長は「総計には町を引っ張る上で分かりやすい言葉が必要で、行き着いたのが『幸福』だ。幸福度は世界各地で調査され、どの政策に力を入れるべきかを比較できる強みがある」と指摘する。

[幸福度指標]経済的豊かさを示す国内総生産(GDP)に対し、自然、健康、文化などを多角的に捉え、心の豊かさに重点を置く指標。アンケートで得られる「主観的指標」と統計データの「客観的指標」を組み合わせるなどして、住民の生活実感から見える幸福感を測定する。結果を行政政策の評価や立案に活用する。ブータンは国家発展の理念として1970年代から国民総幸福量(GNH)を提唱。2011年に経済協力開発機構(OECD)が「よりよい暮らし指標」、内閣府が「幸福度指標試案」を公表した。


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2020年08月21日金曜日


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