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宮沢賢治の直筆草稿か? 詩「S博士に」資料、花巻市へ寄贈

今回寄贈された「S博士に」の草稿とみられる資料。最初に赤いインクで書かれ、賢治の署名もない(花巻市提供)
これまで直筆とみられていた「S博士に」の草稿の画像(花巻市提供)

 岩手県花巻市は26日、宮沢賢治の詩「S博士に」の草稿とみられる資料の寄贈を受けたと発表した。市は直筆草稿のものとみられる画像を所有。字句に違いはないが、異なる点がいくつかあり、今回の資料が直筆である可能性が高いという。市が調査を進める。
 S博士とされる佐藤隆房氏(故人)のコレクション約4000点が6月、総合花巻病院から市に寄贈され、その中から見つかった。佐藤氏は前身の花巻共立病院の初代院長。長年病院で保管しており、今春の移転を機に寄贈した。
 寄贈された資料は1枚で、赤いインクで書かれた後、黒いインクで修正、加筆した跡が残っている。
 これまで直筆草稿の画像とされた資料は宮沢賢治記念館(花巻市)が所蔵する。(1)インクの赤と黒が逆になっている(2)「賢治」の署名が寄贈された資料にはない(3)修正する縦線に若干のずれがある−の違いが見つかった。
 宮沢賢治の実弟清六氏(故人)の孫で、宮沢賢治記念館の宮沢明裕学芸員(42)は「草稿そのものは賢治の死後、宮沢家から佐藤氏に贈られている。佐藤氏の手元にあったことから、今回の資料が直筆である可能性が高い」と話す。
 宮沢学芸員によると、最初に赤インクで書いて黒インクで直す手法は、賢治の他作品でも見られ、珍しくない。草稿に署名が入っているのは不自然で、これまで直筆のものとされた資料は、佐藤氏が複製した可能性があるという。
 「S博士に」は1928〜30(昭和3〜5)年に、賢治が病床で書いた「疾中詩群」の一編。賢治の死生観を知る上で重要な研究対象となっている。


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2020年08月27日木曜日


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