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アベノミクス名実ともに終焉 東北経済「復興支えた」「成果は限定的」評価と批判交錯

震災で被災した石巻市の造船会社「ヤマニシ」を視察する安倍首相=2013年1月

 東北経済の浮沈を握ってきたアベノミクスが、安倍晋三首相の退陣で名実ともに終焉(しゅうえん)を迎える。東日本大震災の復興需要の収束、新型コロナウイルス禍が影を落とす中、経済界の受け止めには評価と批判が交錯する。新首相に経済回復に向けた政策を望む声も相次ぐ。

 東北経済連合会の海輪誠会長は「突然の辞意表明には大変驚いている。長期にわたり日本経済の回復に尽力されたことに敬意を表したい」とねぎらった。現下の新型コロナ対策に触れて「政府には引き続き経済の早期V字回復など、多くの課題に迅速に対応してほしい」と要望する。
 政権運営を評価する声は多い。東北六県商工会議所連合会長の鎌田宏仙台商議所会頭は「震災復興に向け、インフラ整備を力強く推進し、風評被害に苦しむ観光地を支えた」と言う。
 仙台経済同友会代表幹事の大山健太郎アイリスオーヤマ会長も「経済や安全保障、外交で日本の存在感を高めた」と功績を語る。今後については「コロナ下で政治的空白をなくすためにも後任者をスムーズに決めてほしい」と求める。
 「スタートアップ企業などの支援には一貫して理解のある首相だった」と語るのは、創業支援などを手掛けるMAKOTO(マコト、仙台市)の竹井智宏代表。「コロナ禍の今は東京一極集中を是正するチャンス」と、今後の政策展開に期待を込める。
 一方で批判も根強い。みやぎ生協(仙台市)の大越健治専務理事は「長期政権、安倍1強のゆがみや弊害を感じている。弱者への視点がないがしろにされていた」と不満を口にした。
 宮城県中小企業家同友会の鍋島孝敏代表理事は「大企業が潤えば全体が潤うということを期待した経済政策だったが、私たち中小企業にプラスはなかった。発想を変えてほしいと働き掛けてきたが、伝わらなかった」と総括。次の政権に「地方経済、中小企業を後押しする政策に目を向けてほしい」と注文を付けた。
 仙台市中心部商店街活性化協議会の山崎浩之会長は「街の景気に目に見える恩恵は感じられなかった」と率直だ。「優先順位を決めて、国民の痛みが少しでも和らぐ政策を取ってほしい」と新リーダーに望む。
 七十七リサーチ&コンサルティング(仙台市)の田口庸友首席エコノミストは「アベノミクス『三本の矢』で実質的に行ったのは大胆な金融政策だけ。東北への成果は限定的だった」と分析。一方、震災復興期に円高を阻み、株価を高値で維持した点を「復興事業を陰で支えた」と評価した。
 今後の東北経済の見通しについては「震災10年を迎える来年3月以降は、コロナ禍もあって復興予算は縮小されるだろう。被災地経済の先行きが懸念される」と指摘した。


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2020年08月29日土曜日


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