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「応急手当のできる宿」認定制度開始 宮城・鳴子消防署

1分間に110回が目標の胸部圧迫訓練
「応急手当のできる宿」の認定証

 高齢者らに安心して鳴子温泉郷(宮城県大崎市)を楽しんでもらおうと、鳴子消防署は救急救命講習を受講したホテル、旅館を「応急手当のできる宿」として認定する制度を始めた。客が浴場で倒れるなど宿泊施設への救急出動は、昨年度だけで75件あった。署は50軒以上の宿泊施設に講習参加を呼び掛け、安全安心の温泉郷を目指す。
 初めての講習が3日、鳴子観光ホテルであった。鳴子消防署の救急救命士が、心臓停止した場合の胸部圧迫の方法や、自動体外式除細動器(AED)による蘇生措置の手順を指導。従業員は人形を使い、繰り返し身に付けた。
 従業員からは「風呂で倒れ、客がぬれている場合の注意点は」と、温泉地らしい質問も。救急救命士は「AEDのパットを貼る場所だけは湯を拭いて作動させてください」と答えた。
 新型コロナウイルス感染症の対策も取られた。人工呼吸の訓練はせず、胸部圧迫の際に呼気を吸わないため、人形の口にガーゼを置いた。
 フロント担当の井上恵さん(35)は「以前、お客さんが倒れ、先輩従業員が措置したことがあった。救急救命の技術を覚え、自分で対応したい」と意気込んだ。
 井上さんをはじめフロントや接客、施設担当の9人が約3時間の実技を修了。鳴子観光ホテルに第1号の認定証が交付された。大沼真治社長は「これまで以上に安全安心の宿を提供できるよう備えたい」と誓った。
 「応急手当のできる宿」に認定された宿泊施設は、講習を受けた従業員が常在する勤務態勢の維持と、年1回以上の受講による救急救命技術の向上が求められる。
 鳴子消防署によると、昨年度の宿泊施設への救急出動75件のうち、意識混濁と転倒、発熱が上位を占め、冬場には浴場で倒れるケースが多かった。救急隊員が到着してから措置するより、近くにいた人がすぐに手当てした方が、倒れた人の社会復帰率が2倍以上高くなるという。


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2020年09月04日金曜日


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