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女川原発再稼働、町議会同意 「命に関わる」「不可欠」町民賛否の声交錯

東北電が安全対策工事を進める女川原発。女川町議会が2号機の再稼働に正式に同意した

 宮城県女川町議会が7日、東北電力女川原発2号機(女川町、石巻市)の再稼働に「同意」した。重大事故時の不安、冷え込む地域経済への期待。約半世紀にわたり国策に向き合ってきた町内では、再稼働への賛否の声が交錯する。東京電力福島第1原発事故を経た町議会の選択に、住民はさまざまな思いを抱く。

 「危険な原発は要らない。命に関わる問題だ」
 女川町のNPO法人理事長の松木卓さん(82)が語気を強める。町内2カ所に設けた太陽光発電所の売電収入を原資に奨学金を給付する活動に取り組む。2019年度は売電収入が400万円を超え、町出身学生15人に2万円ずつ贈った。
 1964年、出身地の石巻市から町に移住し、薬局を開いた。町議会が原発誘致計画を認めたのはその3年後の67年。以来、賛否に揺れ動く町民を見てきた。
 脱原発を訴える松木さんは「将来世代のことも考えれば、目の前の利益に踊らされるべきではない」と町議会の判断を憂えた。
 一方、基幹産業の水産業など約400の業者が加盟する女川町商工会の高橋正典会長(70)は「町の経済を考えれば原発は必要不可欠だ」と言う。
 東日本大震災の津波で壊滅的被害を受けた町で、廃業や閉店を選ばざるを得ない事業者が相次いだ。約700あった業者は半減。町を潤した復興需要も細り、新型コロナウイルス禍が追い打ちを掛ける。
 高橋会長は「議会の判断は運転開始の議論を大きく前進させた」と早期の再稼働に期待を寄せる。
 県漁協女川町支所は再稼働を求める陳情を町議会に提出したが、複雑な立場の漁業者も。町内でホヤ養殖を営む男性(70)は「この先、原発で事故がないとは言い切れない」と話す。
 福島の原発事故後、町の水産業は風評被害に遭った。国内生産量1位を誇ったホヤは一大消費地の韓国が事故を理由に禁輸措置を取り、大打撃を受けた。生産量は震災前の約1万トンから半減し、19年は初めて首位の座を北海道に渡した。
 「震災の経験もあり、思いはさまざま。賛否ではくくれない」。男性は住民の揺れる気持ちを代弁した。


2020年09月08日火曜日


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