山形のニュース

山形・出羽三山周辺の風力発電計画を撤回 業者、反対運動受け判断

出羽三山神社の玄関口となる羽黒山大鳥居(中央)。奥の尾根沿いに風車が並ぶとみられていた=山形県鶴岡市

 山形県鶴岡市と山形県庄内町の出羽三山(羽黒山、湯殿山、月山)周辺で風車最大40基による大規模風力発電事業の計画を進めてきた前田建設工業(東京)は9日、計画の白紙撤回を発表した。計画が8月に公になると、山形県や鶴岡市が景観や文化的価値の観点から懸念を示し、全国に反対運動が広がっていた。
 同社はホームページで計画撤回を発表し、経済産業省や県に事業を廃止すると連絡した。環境影響評価(アセスメント)法に基づく正式な廃止については近日中に経産省や県に通知を送り、公表する。
 同社の広報担当者は「環境アセスを巡って多くの意見を頂き、計画を再検討した結果、事業の継続は難しいと判断した。景観や文化的価値に配慮して事業規模を縮小すると、採算性が厳しくなる」と説明した。
 計画に不快感をあらわにしていた吉村美栄子山形県知事は「ほっとした」と述べた。県が公表している県内の風力発電の適地に今回の事業実施想定区域が含まれていることに関し「『適地』という言葉が誤解を与える面があった。事業者への情報提供の在り方を検討したい」と語った。
 皆川治鶴岡市長は「山岳信仰の聖地であり、事業者には取り下げを求めてきた。国内外の多くの方々の思いが伝わった結果だ」と話した。市の風力発電施設設置のガイドラインの改定も今後検討する。
 8月に公開された計画段階環境配慮書で事業区域が出羽三山神社のある羽黒山頂まで1キロ程度と近接することが明らかになり、反対運動は地元住民から山岳界や学術団体まで広がった。「出羽三山の風車建設に反対する会」呼び掛け人共同代表で、羽黒町観光協会(鶴岡市)の星野博会長は「全国から頂いた多くの反対署名が撤回の原動力になった」と語った。
 計画では約2296ヘクタールの区域内に高さ180メートルの風車を設置。発電出力は計12万8000キロワットを想定し、2024年7月ごろの着工を目指していた。
 全国ご当地エネルギー協会(東京)名誉会長で会津電力(喜多方市)の佐藤弥右衛門会長は「風や水、太陽光は地域が地域のため使うべき資源。再生可能エネルギーは地元主導で進めるべきだ」と指摘した。


関連ページ: 山形 社会

2020年09月10日木曜日


先頭に戻る