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菅内閣、基本方針で「震災復興」「原発事故」に触れず 前政権は全9回で言及

 菅内閣が16日の初閣議で決定した基本方針で、東日本大震災からの復興と東京電力福島第1原発事故の記載が消えた。震災復興を最重要課題に掲げた第2次安倍政権は2012年の誕生以来、内閣発足や改造に伴う基本方針全9回で震災や福島再生に言及していた。
 菅義偉首相は全閣僚に「自分が復興大臣と思い、しっかり復興に取り組んでほしい」と指示し、安倍晋三前首相の方針を踏襲。平沢勝栄復興相には「縦割り主義を排し、現場主義できめ細かく対応してほしい」と求めた。
 菅内閣は基本方針で、目指す社会像に「自助・共助・公助、そして絆」を据えた。その上で(1)新型コロナウイルス感染症への対処(2)雇用の確保(3)活力ある地方の創出(4)少子化対策と安心できる社会保障の構築(5)国益を守る外交・危機管理−を掲げた。
 前政権の路線継承を公言する一方、(5)で自然災害などあらゆる緊急事態・危機に迅速、的確に対処するとしたにとどまり、震災復興、原発事故には触れなかった。
 安倍氏は在任中「東北の復興なくして日本の再生なし」と繰り返してきた。旧民主党から政権奪還した後の12年12月、閣議決定した基本方針で「閣僚全員が復興大臣であるとの意識を共有」「福島の再生を、国が前面に立ち、国の責任において実現する」などと前面に押し出した。
 その後8回の基本方針で、項目の筆頭に「震災復興、福島の再生をさらに加速」などと記載。昨年9月の第4次再改造内閣でも「閣僚全員が復興大臣であるとの意識を共有し、熊本地震、震災からの復興、福島の再生をさらに加速する」と明記した。
 東北大の吉原直樹名誉教授(社会学)は「安倍内閣の末期に震災復興の幕引きを図ろうとしていたが、菅内閣で本音が出た」とみる。菅氏が目指す社会像にも触れ「被災地に自助を押し付けるという象徴が出たのではないか」と指摘した。


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2020年09月18日金曜日


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