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宮城3病院連携・統合 仙台市、静観貫く 移転止める切り札なし

東北労災病院
仙台赤十字病院

 宮城県立がんセンター(名取市)と東北労災病院(仙台市青葉区)、仙台赤十字病院(太白区)の連携・統合に向けた協議が進む中、仙台市の態度がはっきりしない。隣の富谷、名取両市は3病院の統合移転を想定し、それぞれ誘致に乗り出したが、仙台市は静観を続ける。市内から2病院が消えれば医療、救急体制に影響が出かねないが、統合移転を止める「切り札」がないという事情もある。(報道部・伊藤卓哉)

 「がんの総合的な診療体制が整うことは必要だが、仙台医療圏に影響が出ては困る。検討を注視する」
 郡和子市長は8月5日の定例記者会見で連携・統合の受け止めを問われ、懸念を口にした。「必要なら県に話をする」とも語ったが、記者会見以降は統合移転に反対するわけでも、2病院の存続に動くわけでもなく、沈黙を続けている。
 東北労災と仙台赤十字の2病院は、市内の救急医療の中核を担う。市消防局によると、2019年に救急搬送した4万7973人のうち約1割を収容した。高齢化に伴い救急搬送件数は増加の一途。2病院を含む統合移転が現実となれば、少なからぬ影響がある。
 東北労災はJRと地下鉄の北仙台駅や地下鉄台原駅、仙台赤十字は地下鉄八木山動物公園駅に近い。移転先によっては、車を持たない通院患者の死活問題になる。仙台赤十字は周産期医療でも高い実績があり、妊産婦にとっては痛手だ。
 県は総合的ながん治療の提供体制の構築を目指し、(1)3病院の統合(2)各病院を維持した上での連携−を選択肢に検討を進める。各病院設置者が協議に加わり、東北大が助言役を務める。
 村井嘉浩知事は「年内に一定の方向性を出したい」と表明。富谷市の若生裕俊市長、がんセンターがある名取市の山田司郎市長は、統合移転の結論が出ると見越し、それぞれ新たな病院の誘致に名乗りを上げた。

 対照的に、仙台市は「3病院統合が決まったわけではない」(健康福祉局)と静観を貫く。協議に参加できず「そもそも詳しいことが分からない。情報収集している段階」と説明する。
 仮に3病院統合が決まっても、市外移転を阻止する手だては少ない。健康政策課の担当者は「統合となれば病床数が相当多い新病院になる。候補地となり得る土地は、市有地を含め見当がつかない」と明かす。
 市外移転の影響は認めつつ、市内にとどまることと引き換えに財政負担を求められることも警戒する。
 市議会も動きは鈍い。開会中の9月定例会も質疑は今のところ皆無。ベテラン議員は「県美術館の移転問題に続き、またも知事の独走に見える。統合移転ですんなり話がまとまるのだろうか」と懐疑的に見る。


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2020年09月21日月曜日


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