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女川原発再稼働・迫る地元同意(2) 先導する議会、民意とは乖離

2号機の再稼働を求める陳情を採択した石巻市議会総務企画委。民意をどう反映するのか、議会は問われている=17日

 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働の前提となる「地元同意」を巡り、立地自治体の手続きが本格化している。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から10年目。首長や議員は原発と向き合っているのか。議論は尽くされたのか。民意は反映されるのか。地元とは何か−。村井嘉浩知事の最終判断が迫る中、課題を探った。(原子力問題取材班)
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 第一関門は、単なる通過点にすぎなかった。
 17日の石巻市議会総務企画委員会は、東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働に対する賛成の陳情、反対の請願を審議。採決で、委員6人中5人が陳情に賛成した。
 市議会にとって最初の意思表示は開始からわずか11分で決着。ある市議は「国策に地元がとやかく言っても仕方ない」とこぼした。
 24日の9月定例会最終日に向け、再稼働容認の流れが強まる。反対を貫く共産党の水沢冨士江市議は「東京電力福島第1原発事故を経験し、世論は変わった。再稼働を不安視する市民の声が反映されていない」と悔しさをにじませる。

 原発事故後に再稼働した全国5原発9基の同意手続きでは、立地自治体の議会が先陣を切り、首長の背中を押すパターンが既定路線となりつつある。
 女川原発でも、女川町議会が7日に賛成陳情を採択し、石巻市議会が続く。須田善明町長と亀山紘市長は、再稼働への「同意」を判断する際に「住民の負託を受けた議会の判断を尊重する」と踏み絵を迫る。
 河北新報社が3月に実施した世論調査では女川、石巻両市町で再稼働に反対する住民の割合が60.8%に達した。「同意」に傾く両議会とは一線を画す。
 議会と民意の乖離(かいり)は度々指摘される。市民団体「県民投票を実現する会」が11万筆超の署名を集め2019年、再稼働の是非を問う住民投票条例の制定を直接請求。宮城県議会は自民党会派などが「住民投票では多様な意見を反映できない」と反対に回り、条例案を賛成21、反対35で否決した。
 23日開会の県議会9月定例会は、再稼働への態度を明示する覚悟の場となる。多数派の論理は再び優先されるのか。
 女川原発周辺の地域社会を研究する東北学院大の半田正樹名誉教授(情報経済論)は「県議会の意思が(村井嘉浩知事が判断する)地元同意の重要な材料となる以上、県民の意見をしっかり反映させなくてはならない。民意とずれが生じないよう議論を尽くす姿勢が求められる」とくぎを刺す。

 再稼働への賛否を問わず、民意の集約に取り組む地域もある。
 北海道函館市。電源開発(Jパワー)が青森県大間町に建設中の大間原発は、津軽海峡を挟んで最短23キロ。稼働すれば重大事故時の避難対象となる30キロ圏を抱える。人口約25万の観光都市は、対岸のリスクを除去できないでいる。
 市は14年4月、建設差し止めを求めて国と同社を提訴。6年半近くたった今も係争中だ。工藤寿樹市長は「市民の承諾もなく、近隣に原発が建設されている。市の存続と住民を守らなければならない」と訴える。
 地元の民意をどう吸い上げ、国策とどう向き合うか。市は訴訟の前から「大間原発建設の無期限凍結」を掲げ、市民との意識共有を図る。工藤市長は「市が原発政策で特定の立場に立たないことで、理解を得られた。建設凍結は市民の総意だ」と強調する。


2020年09月29日火曜日


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