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「美術館移転で作品破壊される」 列柱制作のカラバン氏ら反対表明

カラバン氏の「マアヤン」
新宮氏の「時の旅人」

 仙台市青葉区の宮城県美術館を宮城野区に移転する県の方針案について、同館に設置されている屋外彫刻を制作し、ともに世界的彫刻家であるダニ・カラバン、新宮晋の両氏が文書で反対の意思を示した。市民団体「宮城県美術館の現地存続を求めるネットワーク(県美ネット)」が1日、明らかにした。近く県に文書を提出する方針。
 カラバン氏は「(前庭から正面玄関に立てた)列柱は建物の既存の柱と同じサイズや形状で、ケヤキも作品に不可欠な一部」と説明。「美術館の移転は作品の本質や意義を否定する。移転されれば私の作品は破壊されてしまう」と計画の推進を危惧する。
 新宮氏は「計画を聞き、驚いている。作品周囲の木々も育ち、建物とも溶け合っていい雰囲気を生み出してきた」と主張。「取り壊しは、世界的に見てもあり得ない。合理性や経済性だけで物事を進める考え方に、文化や芸術を育てていく未来はない」と指摘した。
 カラバン氏の作品「マアヤン」は、8本の列柱とその足元を水路が縫うように走るもので1995年、美術館前庭に設置された。前庭に立つケヤキと建物の間に列柱を配し、最後の1本は既存の美術館の柱をそのまま利用することで建物との一体感を表している。
 美術館北庭に構える新宮氏の作品「時の旅人」は81年の開館に合わせて制作された。高さ11メートルの大きな風車で、風力や風向きによって三つの羽根が不規則に回る。回転速度が上がったり、急に逆回転したりする羽根は時計の針を連想させ、時間の流れを表現している。
 両作品とも美術館が立つ場所の自然や景観、歴史的条件に調和するよう制作された「環境彫刻」だ。
 県美ネットの西大立目祥子共同代表は「美術館には作品を保存し、次世代に伝える役割がある。美術館の歴史は作家との信頼関係によって蓄積されたものだ。作品の破壊はこれまでの40年間を台無しにしてしまう」と話した。


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2020年10月02日金曜日


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