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スマート社会へ 地域を創る新しい力(1)スイカ生産にICT活用(山形・尾花沢)

自動操舵トラクターによる農薬散布のデモンストレーション。水を使って散布の様子が披露された=7月14日、尾花沢市・JAみちのく村山尾花沢営農センター
アシストスーツを着用し、スイカを持ち上げる現地検討会の参加者。生産者の負担軽減に向けた活用が期待される=2019年7月18日、尾花沢市荻袋

 人口減少や少子高齢化といった課題の解決に向け、情報通信技術(ICT)を活用した取り組みが各地で進んでいる。地域の実情に応じて次世代を担う人材を育て、生産性を向上させる新たな手法が注目を集める。河北新報社は「スマート社会へ〜地域を創る新しい力〜」と題し、東北と新潟の有力紙との8社共同企画としてICTにスポットを当て、各地の活動と彼らに期待する人たちを紹介する。(8回続き)

◎自動操舵トラクター、アシストスーツ…作業負担減 収量アップ

 夏スイカの生産量で日本一を誇る尾花沢市の「尾花沢すいか」。糖度が高く、みずみずしく締まっており、しゃりっとした食感は人気が高く、地域経済を支える柱の一つになっている。一方、生産者の高齢化が進み、重労働の省力化は喫緊の課題だ。
 山形県などは2019、20年度、農林水産省の「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」の採択を受け、「スマート農業技術によるすいか生産イノベーションプロジェクト」を展開している。同市内の生産者や農機メーカーなどと連携し、ICTを活用した作業時間の短縮や生産管理の効率化に関する実証を行った。

 挑戦した技術は、熟練度に左右されない圃場準備作業の高能率化、炭疽(たんそ)病発生予測に基づいた効率防除、スマート技術に対応した栽培、出荷予測に基づく有利販売の実践、アシストスーツなどによる労働負荷軽減、一元管理ソフトによる営農改善−の6項目。10アール当たりの労働時間を現行の180時間から120時間まで短縮し、収量を4.8トンから5.4トン以上に拡大する目標を設定した。
 スイカ栽培は畝の準備やビニールシートを張ったマルチトンネルの設置など、重労働が多い。自動操舵(そうだ)のトラクターを使うことでさまざまな工程が集約でき、経験が浅くても短時間での作業が可能となる。10アール当たりの作業時間を12時間から4時間に短縮するのが目標だ。
 一方、トラクターの走行路を整備することで、栽培面積は従来の70%ほどになる。収穫量の低下を防ぐには1株から実を結ぶ量を増やす必要があり、つるの伸ばし方を工夫した多収栽培にも挑戦した。19年度は10アール当たりの収量が22%増加し、作業時間は28%削減された。20年度は天候不順などで収穫量が思うように伸びず課題を残す結果となったが、作業負担の軽減につながることは示された。

 スイカの収穫時期は交配日からの積算温度が目安となっているが、見極めは生産者の経験に頼る部分も多い。最新技術では圃場にあらかじめ交配日を示した目印を立て、小型無人機ドローンで画像を解析することに挑戦した。積算温度のデータと連動させることで収穫期が予測できるようになった。
 プロジェクトは本年度で終了するが、今後もスマート技術の研究を進め、28年までに栽培面積777ヘクタール(16年721ヘクタール)、産出額70億円(同58億円)、1戸当たりの栽培面積160アール(同90アール)まで拡大することを目指している。
 「超えなければいけない技術の壁はあるが、苦労はいつか実を結ぶ」と県の担当者は話す。山形が誇るスイカ産地の発展を目指し、挑戦は続く。
(山形新聞報道部・小田信博)

<東北・新潟8新聞社共同企画>
河北新報社、東奥日報社、岩手日報社、秋田魁新報社、山形新聞社、福島民報社、福島民友新聞社、新潟日報社

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2020年10月04日日曜日


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