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疫病退散、歴史に学んで 東北大災害研、石碑や習俗の情報募る

仙台市太白区秋保で祭られている疱瘡神

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東北大災害科学国際研究所は、疫病よけを願う石碑や習俗の情報を募り、歴史的意義を明らかにする市民参加型の「疫病退散プロジェクト」を始めた。医学系や郷土史家ら学外の専門家も交え、過去の感染症流行を当時の人々がどう乗り越えたのか研究する。
 収集対象は、感染症の犠牲者を供養する石碑や、疫病よけの祭神を祭る神社、地域に伝わる祭礼や神事など。言い伝えや古文書のほか、1918年から流行したスペイン風邪の資料も含める。文化財や遺構を「疫病遺産」と名付ける。
 石碑や史料、伝承の情報などは災害研の「疫病退散プロジェクト」のホームページ(http://www.saigaibunka.jp)に入力できる。災害研の研究者が内容を確認した上で現地調査する。
 県内では天然痘(疱瘡(ほうそう))よけの「疱瘡神」の石碑や、怒らせると疫病をもたらす牛頭天王(ごずてんのう)を祭る神社などが知られている。
 災害研の蝦名裕一准教授(日本近世史)は「医学が通用しない時代、感染症は身近な災害だった。医学の進歩で忘れられた感染症との共存過程を明らかにしたい」と狙いを語る。
 メンバーの平川新・東北大名誉教授(近世史)は「過去の感染症流行による政治や社会の混乱は、新型コロナが流行する現代との共通点も多い。資料を基に実態を解明し、今を生きるヒントにしたい」と話した。
 災害研は年内をめどに情報提供を呼び掛け、2021年3月にも事例をまとめた報告書を刊行する。調査の有効性を検証し、21年度以降は東北各県に調査の範囲を拡大する予定。


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2020年10月05日月曜日


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