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地域の悩み、よろず相談所で解決 住民と寺がサポセン設立 岩手・大槌

入社式で住民が安心して生活できるサポートを誓う従業員

 人口減や少子高齢化の進行で危ぶまれる地域社会の崩壊を防ごうと、岩手県大槌町吉里吉里地区の住民と寺が合同会社「慈愛サポートセンター」を設立した。葬祭関連事業に加え、高齢者の見守りや子育て支援など生活全般に対応するよろず相談所として、地域貢献を目指す。
 合同会社は資本金320万円で、地区唯一の寺である吉祥寺(高橋英悟住職)と住民が出資した。パートを含む常勤従業員は地区の30〜40代を雇用した。事務所は寺内に設置する。
 東日本大震災の津波で被災した吉里吉里地区(浪板含む)の人口と高齢化率(8月末現在)は2139、42.12%。5年前の同時期は2415、36.77%、震災前の10年前は2906、32.55%で、人口減と高齢化が急ピッチで進む。
 合同会社の代表社員(非常勤)を務める芳賀衛さん(72)は「実家に誰も住まなくなり、墓じまいをする檀家(だんか)や、1人暮らしで自分の葬儀や遺品整理を心配する高齢者が増えている」と危機感を語る。寺には精神面や生活面の不安、悩みが多く寄せられるという。
 合同会社は、住民の相談に365日24時間ワンストップの対応を掲げる。経営の柱には葬祭事業と寺の施設管理を据え、さまざまな社会貢献に取り組む。
 想定する事業は墓参り・清掃の代行、空き家の管理・処分、寺カフェの運営、終活、婚活のアドバイスなど多岐にわたる。サービスを利用するには寺の檀家で会員登録が建前となるが、高橋住職は吉里吉里地区の住民ならば檀家に限定せず、誰でも利用できる体制にする考えを示す。
 4日は吉祥寺の本堂で入社式があり、法要の後、辞令を交付した。芳賀代表社員は「安心して生活できる環境をつくる。地域の困りごとに慈愛の心で向き合おう」と呼び掛けた。
 高橋住職は「行政や既存の福祉の手が届かない所、あらゆる世代に全方位で目配りし、分断や格差をなくしたい。地域社会の危機は待ったなしの状況。幸せな未来につなげる取り組みにしていく」と話した。


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2020年10月06日火曜日


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