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<せんだい進行形>笹かま販売に新様式 コロナで苦戦 ピンチをチャンスに

武田の笹かまぼこ 笹かま専用自販機で新たな販売方法を模索する武田社長(左)と阿部社長=松島町
松島蒲鉾本舗 寄贈された揚げかまぼこを味わう多賀城小の児童たち

◎非対面で 専用自販機を設置

 新型コロナウイルスの感染拡大で観光客の入り込みが激減し、土産品の売り上げが軒並み落ち込む中、仙台圏の笹かまぼこ製造・販売会社が新たな取り組みを始めている。生き残りに向けて対面以外の販売機会の確保や新たな顧客の掘り起こしに挑む2社の動きを追った。
(塩釜支局・高橋公彦、多賀城支局・石川遥一朗)

 武田の笹かまぼこ(塩釜市)は8月上旬、宮城県松島町の観光桟橋近くにある休憩所に全国初となる笹かま専用の自動販売機を設置し、販売を始めた。自販機の販売やメンテナンス事業を営むパルサー(仙台市)と共同で開発した。
 2段のディスプレーに8種類の見本が並び、価格は320〜1000円。宮城名物の牛タンやだだちゃ豆が入った笹かま(各2枚入り)のほか、ミニサイズ5枚入り、大小10枚以上の詰め合わせを用意した。
 QRコードも掲示し、スマートフォンなどで読み取ると自社の電子商取引(EC)サイトにつながる。気に入った商品をその場で買える仕組みで、冷蔵で持ち帰る手間が省ける。
 武田武士社長(43)は「コロナの影響で対面販売の機会が激減した。2枚入りにしていろいろな商品を食べられるようにし、ネットを通じた拡販にもつなげたい」と狙いを説明する。
 武田の笹かまぼこは土産用が主力で、コロナ禍の前は多くの観光バスが本店に立ち寄った。感染拡大後は本店に加え、高速道路や道の駅、JR仙台駅の売店が軒並み低迷し、売り上げは9割以上減ったという。
 専用自販機の設置は食品ロス解消とPR効果を考え、パルサーの阿部章社長(41)が提案した。パルサーが飲料用に使われていた中古自販機を仕入れて改造し、多様な形態を扱えるようにした。
 両社は松島での販売を本年度末までの試験的な取り組みと位置付け、売り上げなどを踏まえて仙台市をはじめとする県内の駅や空港、コンビニエンスストアへの展開を検討する。
 武田社長は「コロナは収束が見通せず、従来の販売手法では経営が立ちゆかない。会社の存続のために販売チャンネルを増やし、対面以外の機会を確立する」と前を向く。
 阿部社長は「自販機を試食による広告媒体と考え、ネットなどでの購入につなげていく。物販の無人化やセルフ化は人手不足などで進んでいたが、コロナでさらに非対面販売に拍車が掛かる。当社のビジネスチャンスだ」と意気込む。

◎地元開拓 学校に寄贈しPR

 観光客向けの販売が売上高の約7割を占めていた松島蒲鉾(かまぼこ)本舗(松島町)は、総本店と門前店を構える松島町や多賀城工場がある多賀城市で、地元客の開拓に力を入れる。
 6、7月には、多賀城市の小中10校に豆腐入りの揚げかまぼこ「むう」5440個を寄贈した。柔らかい食感が特長で、発売以来20年以上にわたって人気を集める看板商品だ。
 多賀城小(児童584人)では給食の1品として提供された。6年黄海里緒さん(12)は「普段食べるかまぼこよりも柔らかくておいしい。家族にも薦めたい」と喜んだ。
 むうは松島町の小中学生らにも贈られた。狩野章取締役多賀城工場長は「コロナ禍で不自由な生活を送る子どもたちを元気づけるとともに、会社や商品の認知度を上げる効果も期待している」と明かす。
 松島を訪れる団体旅行客はコロナ禍以前から減少傾向にあり、土産物や贈答品としてのイメージが強い笹かまをもっと地元客に親しんでもらおうと取り組みを重ねてきた。
 2016年6月に操業を始めた多賀城工場には直営店を併設し、作りたてのかまぼこを販売。小学生の工場見学受け入れや毎年秋に地域住民対象の祭りを開催し、直売所の売り上げは増加傾向にある。
 コロナの影響で、会社全体の売り上げは一時、前年比約9割減にまで落ち込んだ。狩野工場長は「地元客の利用は増えつつあるが、まだまだ足りない。笹かまを県民の食卓に並ぶ一品にできるよう宣伝や商品開発に注力する」と話す。


2020年10月08日木曜日


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