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福島第1原発の処理水処分、年内に一本化 海洋放出を軸に政府調整

 東京電力福島第1原発の放射性物質トリチウムを含む処理水=?=を巡り、政府が年内に処分方法を一本化する方向で最終調整に入ったことが8日、関係者への取材で分かった。複数の選択肢から海洋放出に絞り込み、風評被害対策の具体化や安全性の周知徹底を進める。事故直後に顕在化した汚染水問題は、10年目に入り最大の局面を迎える。

 関係者によると江島潔経済産業副大臣が9月末、いわき市内で福島県内の漁業団体幹部と非公開で面会し、今後について意見を交わした。26日には菅義偉首相が第1原発を視察後、取材に「できるだけ早く処分方針を決めたい」と早期決着を図る考えを示していた。
 海洋放出には、漁業者や県内の市町村から強い反発がある。政府は関係者と意見を擦り合わせ、処分方法を絞り込んだ後も1年以上かけ、漁業者や国民に理解を求めていくとみられる。
 処理水を巡っては、政府小委員会が水蒸気放出や地下埋設など5案の実現性を検討。国内外で実績のある海洋放出を「現実的で確実」とする報告書を今年2月にまとめた。海洋放出は費用が34億円と最も安い。
 東電によると原発構内に設置できる保管タンクは137万トンが限界とされ、2022年9月に満杯となる見通し。処分の準備や認可に約2年かかるため、関係者は「(方針決定は)年内がぎりぎりだ」とみる。
 政府は今年4月、自治体や業界団体を対象に意見聴取会を始めた。これまでに43人が出席し、8日の第7回が最終となる見通し。
 福島県沿岸では、操業日数や海域を限定した試験操業が続いている。県漁連は来年4月、10年ぶりに本格操業を再開させる方針。今後は国と東電による風評被害対策と、漁業者側の対応が焦点となる。

[処理水]福島第1原発の汚染水を浄化処理した水。汚染水に含まれる62種類の放射性物質は十分取り除けるが、トリチウム(三重水素)は残る。雨や水道水にも含まれるトリチウムは放射線がごく弱く、東アジアや欧米圏の原発では大量に環境放出されている。炉心溶融(メルトダウン)を起こした第1原発では1日に約140トン発生し、構内のタンクで保管されている。海洋放出する場合、東電は再浄化後に希釈して放射性物質濃度を国の基準値未満にする方針。


2020年10月09日金曜日


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