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丸森町、中心部の排水強化に着手 冠水への住民不安なお拭えず

冠水した丸森町の中心部=2019年10月13日正午ごろ
解体する食堂を見つめる白木さん。浸水で破られた入り口は板でふさいでいる

 台風19号豪雨から12日で1年。宮城県丸森町は内水氾濫で町役場を含む中心部が冠水したため、周辺一帯の排水強化に着手した。ポンプの増設などを計画するが、避難や孤立を経験した住民は不安を拭えずにいる。
 「冠水で避難所に行けなかったのが困った」
 中心部の町営アパート1階で暮らしていた農産物直売所店員寺沢美亜さん(30)が振り返る。アパート周辺の冠水に気付いたのは午前8時すぎ。豪雨と暗がりの中、避難所がある町役場方面へ家族で向かった。夫(35)は長男(6)を背負って冠水の中を進んだ。
 自宅から350メートルほど離れた避難所への道も水で覆われていた。家族は近場の安全な建物を探して歩いた。水の高さが腰の辺りまで達する中、3階建ての福祉施設に駆け込んだ。
 一家がアパートに入居したのは台風の半年ほど前。寺沢さんは「大雨の時にどうなる土地なのか詳しく知らなかった。早めに避難すればよかった」と省みる。
 住んでいた部屋は床上浸水し、町外のみなし仮設住宅に移った。生活の利便性から、再び町の中心部で暮らす考えもある。
 アパート近くに雨水ポンプ場があり、修繕や新設の工事が行われる。寺沢さんは「ポンプを増やすのは必要だが、災害では予想外の事態も起こる。避難場所の安全を確保してほしい」と切望する。
 中心部で約55年続いた食堂「味一」は浸水被害で再開を断念した。町商工会長を務める店主の白木寛一さん(73)は「続けたかったが、資金の問題もある。仕方がない」と悔しげに語る。現在は町内のプレハブ仮設住宅に夫婦で暮らす。
 台風時は店舗兼住宅の2階に避難。一帯の冠水で孤立した。住宅のみ同じ場所に再建する予定だ。周辺が再び冠水する不安はあるが、商工会長として「商店や企業に被災の恐れがないかどうかも心配だ」と表情を曇らせる。
 近くの商店街は路面に泥が堆積するなどし、復旧に時間を要した。商店は買い物客の通行量を考慮すれば、中心部から別の場所へは容易に移転できない実情がある。白木さんは「町などがスピード感を持って水害対策に取り組んでおり、期待したい」と評価する。
 台風後に観光客が離れた。「新型コロナウイルスに追い打ちを掛けられた。観光で活気を取り戻そうと考えている。水害を乗り越え、外部から人を集められる場にならなくてはいけない」と強調した。

[メモ]町が策定した復旧・復興計画によると、町中心部の雨水ポンプ場は来年度までに修繕を全て完了させ、2023年度にはさらに新設する。現在は仮設ポンプを6基設置している。雨水を阿武隈川へ直接排水する約760メートルの放流管も整備する。台風19号時はポンプ設備が記録的な降水量で被災し、町役場周辺は約50ヘクタールが冠水した。浸水した3地区の町営住宅計142戸は解体し、うち2地区に計110戸を再建する。50戸の災害公営住宅も町営住宅の近くに設ける。


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2020年10月11日日曜日


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