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丸森・筆甫地区の主要道寸断、今も通行止め 地区外再建を選ぶ住民も

水田があった場所に立つ池田純一さん。河原のようになり、電柱も無残な姿をさらしたままだ=2日
池田光明さん

 宮城県丸森町の山あいにある筆甫地区は、昨年10月の台風19号豪雨で町中心部からの主要ルートである県道丸森霊山線と町道五福谷北山線が土砂崩れで寸断され、いずれも復旧工事で依然通行止めとなっている。住民は孤立感を深め、「道路がなければ地区外で暮らす住民の帰還も進まない」との声が上がる。
 「取り残された気がしてつらい。このまま誰もいなくなるのか…」
 北山行政区の池田純一区長(71)は嘆く。町中心部とつながる町道五福谷北山線沿いの7世帯のうち、池田さん方以外は全て地区外の仮設住宅などに身を寄せている。
 台風で裏山が崩れ、土砂が家々に押し寄せた。近くを流れる五福谷川は氾濫。川沿いの水田は岩石に覆い尽くされ、流路が変わった川の水が注ぐ。なぎ倒れた電柱も残されたまま。町道は数カ所が崩れ、池田さん方を含む川沿いの家々は2〜5カ月孤立した。町中心部に近い寸断箇所は今も復旧していない。
 町道があれば、町中心部への車両での移動時間は20分ほど短縮されるという。筆甫地区全域にとっては県道丸森霊山線の通行止めが痛手だが、池田さんの近隣世帯には町道も重要な生活道路だ。池田さんは「町道が早く復活すれば、避難世帯が再び地元で暮らす材料になる」と訴える。
 自宅が町道の寸断箇所に近い会社員八巻陽治さん(58)は「以前は町中心部に一番近い家だったが、今は一番遠い家になった」と苦笑する。自宅に被害はなかったが、孤立したため町外に移った。「いずれ家に戻りたいが、それまでに町道が復旧しているかどうか…」と気をもむ。
 再び災害に遭う危険を考え、地区外で生活再建すると決めた住民もいる。被災時の恐怖が胸に焼き付いているという。
 「大雨の時の自然はおっかない。山が崩れるとは思わなかった。町外に新しい家を建てることになる」
 池田さん方隣の池田きみいさん(83)が切々と語る。土砂が自宅になだれ込み、夫の光明さん=当時(84)=を亡くした。「一生懸命いいコメを作り、滑稽なことも言う朗らかな人だった」としのぶ。
 町内の仮設住宅で暮らしている。倒壊した家は9月に解体を終えた。「思い出がたくさんある場を去るのは寂しい」。夫婦で長く暮らした地への愛着は深い。「これからも筆甫で暮らす人のために、川や山を安全にしてほしい。後々の代まで住めるように」と願った。

[メモ]県道丸森霊山線は4.8キロ区間が全面通行止めで、本格復旧工事は2022年度ごろまで続く見込み。町道五福谷北山線の通行止めも22年度までの予定。筆甫地区から町中心部へのルートは、林道鷲の平線も不通になっている。地区の人口は8月末現在で240世帯509人。


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2020年10月12日月曜日


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