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一力遼の一碁一会 「プロ棋士の仕事」対局と普及活動で生計

 皆さんは、囲碁や将棋の「プロ棋士」について、どのくらいご存じでしょうか? 最近は将棋の藤井聡太さん(18)の活躍などで以前と比べると耳にする機会が増えたと思いますが、詳しくは分からないという人が多いかもしれません。
 そこで、棋士の立場から囲碁のプロ棋士とはどんな職業なのか、その実態や魅力を将棋界とも比較しながらお伝えしていきます。連載を通して一人でも多くの方に興味を持っていただけたら幸いです。
 現在、囲碁は約480人、将棋は約230人の棋士がいます。棋士になるための方法は一つではありませんが、囲碁は「院生」、将棋は「奨励会」と呼ばれる養成機関に入り、そこで好成績を収めてプロ入りするというのが一般的です。
 私の場合は、8歳で院生に、13歳で棋士(初段)になりました。
 棋士の主な収入源は対局(試合)によって得られる「手合料」で、「碁聖戦」や「名人戦」などのタイトル戦は主に新聞社がスポンサーとなっています。いずれも最初はトーナメント方式なので、一度負けたらそのタイトル戦の次回チャンスは1年後となります。トーナメントを勝ち上がり、最終的にタイトルを獲得すると優勝賞金を得ることができます。
 私が先日獲得した「碁聖」をはじめ、囲碁には七つのタイトル戦があり、複数のタイトルを保持すると年収が1億円を超えるケースもあります。

 普及活動も棋士の重要な仕事です。アマチュア向けに指導対局をしたり教室を開いたりするほか、近年は大学の講義や小中高校の授業に取り入れられる機会も増えています。
 試合と普及活動で生計を立てている点はスポーツ選手と似ていますが、大きく異なるのが選手寿命の長さです。野球やサッカーでは40代、50代で活躍する選手は数少ないですが、囲碁や将棋の場合は60代以上の棋士も多く、囲碁棋士の中には90歳を超えている方もいます。年の離れた棋士が同じ土俵で戦っているのが、囲碁・将棋界の特徴の一つと言えます。(囲碁棋士)
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 一力遼(いちりき・りょう) 2010年にプロデビューし、17年八段、今年8月に七大タイトルの碁聖を獲得した。14年、若手の国際棋戦、グロービス杯で優勝。同年新人王戦優勝。七大タイトルには16年の天元戦をはじめ、これまで7度挑戦。19年、NHK杯優勝。竜星戦(2連覇中)など早碁棋戦でも活躍が著しい。早稲田大を3月に卒業。河北新報社に入社し、東京支社編集部に在籍。仙台市出身、23歳。


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2020年10月14日水曜日


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