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仙台の被災道路の9割が復旧 水害回避へ抜本的な対策求める住民

台風19号で市道のり面が崩落した現場。盛り土に補強材を挟み込む工事が進む=仙台市泉区

 仙台市内にも大きな被害があった昨年10月の台風19号から1年が過ぎた。市は被災した道路の約9割の復旧工事を完了し、浸水や冠水に見舞われた住宅地で排水対策を進める。豪雨災害は年々激甚化する一方で、住民からは抜本的な水害対策を求める声が上がる。(報道部・上村千春)

 台風19号で被災した市管理の道路は276カ所。既に242カ所(87.7%)が復旧し、残る34カ所も本年度中に工事が完了する。
 泉区の泉中央3丁目、将監1丁目の住宅地。台風で高さ約10メートルある市道のり面が、約60メートルにわたって大規模に崩れた。現地では盛り土を入れ替え、補強材を何層も挟み込む工事が進む。
 梅雨明けの遅れなどで工期が3カ月延び、完了は来年3月末。土砂が流入した崖下のマンションは、それまで本格復旧に着手できない。オーナーの男性(61)は「今回の工事で本当に向こう100年の安全が保てるのだろうか。市を信じるしかないが…」と不安を語る。

 台風19号は市内に床上浸水830世帯、床下浸水443世帯の被害をもたらした。市は本年度、副市長と全局区長による「雨水対策委員会」を開催。市内全域を調査し、予算を投じる優先順位を入れ替える。市幹部は「浸水対策のスピードを上げる」と強調する。
 水害の常襲地帯、宮城野区白鳥地区。東日本大震災で低い土地がさらに地盤沈下し、台風19号では地区の大半が冠水した。市は近くの仙台港にあるポンプ場の能力を倍増させるため、本年度は設計に入る。2025年度に稼働すれば、地区周辺の雨水被害を緩和できる。
 住民の無職遠藤輝男さん(81)は震災後にリフォームした家が再び浸水した。「本当は土地をかさ上げして建て直したいのだが…。低地に暮らす以上、仕方がない」と諦め顔で話す。
 宮城野区仙石、福住町も常襲地帯。台風19号では仙石地区にある梅田川支流の堀で水が逆流し、約50世帯が床上、床下浸水した。福住町の田子排水機場で電気設備が浸水し、排水ポンプの稼働が停止したため、被害が拡大したとみられる。

 仙石など18町内会でつくる東部地域水害対策協議会によると、1986年の8.5豪雨以降、浸水被害は9度目となる。協議会は昨年11月、市に対策強化を求める要望書を提出した。
 池田友信代表(78)は浸水被害が堤防の決壊が原因ではなく、下水道などの排水能力を超える雨水が行き場を失う「内水氾濫」であることを問題視する。
 池田氏は「都市構造を変えない限り、内水氾濫はなくならない。上流に広葉樹を植えて保水能力を持たせ、中流はビルやグラウンド地下に雨水調整施設を造り、下流の排水負担を減らすべきだ」と提言する。


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2020年10月15日木曜日


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