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亡き姉との再会を小説に 石巻市の中1佐藤さん、地域誌に執筆

自宅でパソコンに向かう珠莉さん。執筆を見守るように、背後の写真の中の愛梨ちゃんがほほ笑む=9月30日、石巻市

 大好きだった当時6歳の姉を東日本大震災で亡くした宮城県石巻市の中学1年佐藤珠莉さん(13)が、姉と自身をモデルにした短編小説「真っ白な花のように」を執筆した。2人の楽しい日々を思い返しつつ、姉の年齢を追い越し成長した視点から、天国での姉の幸せを願うストーリーだ。

 姉の愛梨ちゃんは地震発生後、通っていた石巻市の私立日和幼稚園から園のバスで送り返される途中に被災。津波と火災に巻き込まれて命を落とした。3歳だった珠莉さんは喪失感を抱えたまま大きくなり、七夕やクリスマスのたびに「お姉ちゃんに会いたい」と願った。
 小説では病気で姉を失った13歳の少女の前に、三つの願いをかなえてくれるという妖精が現れる。一つ目の願い通り、姉が亡くなった時と同じ姿で帰ってくるが、少女にしか見えない。
 自分より幼い姉と楽しく過ごしながらも、両親や他の人と会話もできないことをふびんに思い、少女は二つ目の願いとして、姉を天国に帰すことを決心。つらい別れの後に、三つ目として「天国での姉の幸せ」を願った。
 珠莉さんは「お姉ちゃんになってくれて(中略)家族になってくれて本当にありがとう。(中略)いつまでもずっとずっと大好きです」と結んだ。
 小説は、石巻圏の文化や歴史、復興の歩みを伝える地域誌「石巻学」を発行する「石巻プロジェクト」代表の大島幹雄さん(67)が珠莉さんに執筆を依頼。9月発行の石巻学第5号に掲載された。大島さんは「6回読み、6回泣いた。姉の幸せを願う気持ちが素直に伝わる」と評価する。
 「お姉ちゃんに伝えられるものがあるといいと思った。自分より年上になったお姉ちゃんが想像できず、思い出の中の姿を書いた」と珠莉さん。「亡くなった人は帰ってこないけれど、一緒にいることを想像したり文章に書いたりはできる。書いている時、『頑張って』と応援してくれている気がした」とほほ笑む。
 母美香さん(45)は「よくここまで書けた。震災から9年半、珠莉なりに考えて過ごしてきたのだろう。愛梨のことをこんなふうに思えるようになり、人を思いやれる人に育ってくれた」と目を潤ませた。


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2020年10月17日土曜日


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