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「消毒液が怖い」 化学物質過敏症患者、コロナ禍でますます苦悩

アルコールや塩素を含まない消毒液を手に掛ける化学物質過敏症の女性。外出時は常に携帯している

 新型コロナウイルスの感染予防で、建物の出入り口などに置かれた消毒液や除菌作用のあるハンドソープを使うことが当たり前になっている。化学物質の香料を含む商品も少なくないが、新潟市の30代女性は「化学物質過敏症のため頭痛や目まい、吐き気などが生じ体調不良になる」と訴える。新潟日報社「もっとあなたに特別報道班」(モア特)が取材した。

 化学物質過敏症は、建材や洗剤、化粧品などに含まれる化学物質に過敏に反応して現れるさまざまな症状。厚生労働省が病名リストに化学物質過敏症を登録したのは2009年。発症などのメカニズムはまだまだ未解明の部分が多い。
 女性は「家の前の道路工事をきっかけに発症した」という。せきや湿疹、鼻血が出ることもある。
 耳鼻科、皮膚科、精神科など複数の医療機関を受診したが、はっきりとした診断結果を得られなかった。東京にある化学物質過敏症の専門医療機関は、全国からの患者が受診するため予約は約4カ月待ち。今年ようやく受診でき、過敏症と診断された。
 女性は「柔軟剤などの香りが『嫌い』『苦手』なだけだと誤解されがちで、変わり者と思われることもある。家族や友人、同僚、医師にも理解されないことが最もつらい」と語る。
 新型コロナウイルス禍で消毒を求められる機会が増え、不安は膨らむ。消毒液に含まれる成分で体調を崩す恐れがあり、使用は避けたいが、過敏症について説明するのが難しく「消毒後すぐに手を洗っている」(女性)のが実情だ。
 新潟市の60代女性は「新潟県内に専門医療機関がなく、化学物質過敏症を発症後、神奈川県などに7回通った」と話す。別の病気やけがにも不安が強く、「薬剤などに含まれる化学物質にリスクがあり、検査や麻酔、歯の治療もできない。突発的な手術が必要でも県外でしか対応してもらえないのだろうか」と漏らす。
 新潟県内の患者数ははっきりしない。県立看護大(上越市)の永吉雅人准教授(人間環境科学領域)が2017年、市内62小中学校の全学年1万1271人に調査したところ、化学物質過敏症の兆候が見られる児童生徒は、ほぼ全ての学年で1割以上いた(有効回答7224人)。学年が上がるにつれて増加傾向が見られ、中学3年では小学1年の2倍以上の15%だった。
 横浜市のNPO法人化学物質過敏症支援センターは、患者の相談対応や症状の詳細の広報に当たっている。安全な食品や日用品について患者に情報提供するとともに、各分野のメーカーに安全な商品の開発を求める。
 新潟県の患者からは、県内でも行政や医療機関が啓発に力を入れるよう求める声が高まる。最初に情報を寄せた女性は「多くの人々にきちんと理解してもらえるように積極的に広報してほしい」と訴えた。
(新潟日報提供)


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2020年10月20日火曜日


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