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福島のアパレル業者、マスクや防護服に手応え コロナ下、新事業で収益確保

福島第1原発向けの防護服を生産するキャニオンワークスの工場=いわき市の好間工業団地

 東京電力福島第1原発事故で被害を受けた福島県内のアパレル業者が、新型コロナウイルスの感染拡大に対応した新事業の展開に意欲的だ。生産の主軸を需要の多いマスクや防護服に切り替え、落ち込んだ収益の確保に向けて奮闘する。
 いわき市の好間工業団地にある縫製業キャニオンワークス(福島県浪江町)の工場では、二十数人の従業員がミシンで防護服を製造する。1日1000着生産する服の届け先は、廃炉作業が進む第1原発だ。
 アパレルブランドのバッグのOEM(相手先ブランドによる生産)供給が主力だったが、コロナ禍で注文がぱったり途絶えた。苦境にあえぐ中、大手商社からの打診もあって6月に原発作業員向けの衣類製造を始めた。
 同社は原発事故で浪江町から避難し、2014年にいわき市で再出発した。半谷正彦社長は「廃炉は数十年かかる長期的な事業。原発向け衣類は安定的な受注が見込め、収益の一つの柱にしたい」と話す。
 アパレルはコロナ禍で大きな打撃を受けた業界の一つとされる。外出自粛の影響もあり、販売不振に陥った大手は相次いで店舗の閉鎖を表明。需要の減少は原発事故後に県内に進出した業者にも暗い影を落とす。
 17年に福島県川内村で新工場を稼働させた縫製業リセラ(岡山県倉敷市)は、主力だったスポーツウエアのOEM供給が東京五輪・パラリンピックの延期によりストップ。窮余の策として今春、川内工場でマスクの製造を始めた。
 今夏には医療用ガウン製造にも着手。同社は「福島県内からも注文があり、少しずつ手応えを感じ始めてている。より高性能の医療用防護服や防塵(じん)服にも取り組む」と説明する。
 長引くコロナ禍を見据え、オリジナル商品の開発に力を入れる企業もある。
 原発事故で一時、町域の約3割が避難区域に指定された福島県川俣町の斎栄織物は今春、特産の絹を用いたマスクを発売した。1枚3500〜5500円と高額だが、肌に優しい生地が女性に好評で月3000枚を売り上げるヒット商品となっている。
 「原発事故後も大変な状況だったが、高品質の絹製品を作り続けることで収益を回復できた。今回もピンチをチャンスにしたい」と斎藤栄太常務。来月にはイタリアでもマスクを販売するといい「川俣シルクを世界にアピールするきっかけにしたい」と意気込む。


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2020年10月19日月曜日


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