福島のニュース

初めての理容室、あす開店 復興見守り人集まる場所に 福島・富岡

カットモデルの髪を切り、腕を磨く草野さん(左)

 東京電力福島第1原発事故で一時全町避難した福島県富岡町に11月1日、町でただ一つの理容室がオープンする。地元出身の理容師草野倫仁さん(25)が独立して開業。「地元の人や地域を訪れる人に愛される店にしたい」と意気込む。
 店名は「バーバーショップ C.O.R(コール)」。英語で「復興の輪」を意味する「Circle of revival」の頭文字を取った。
 原発事故当時、草野さんは富岡二中に通う3年生だった。山梨県の高校に進み、半年で福島市に仮校舎があった富岡高に戻った。
 サッカー部に所属し、2013年の全国高校サッカー選手権出場を決めたメンバーの一人。寮生活中にチームメートの髪を切っていたことがきっかけで理容師を志した。
 卒業後、埼玉県の専門学校に通いながら理容室でアシスタントとして働き始めた。同県や栃木県の店で経験を積む中、昨年10月の台風19号で被災したのを契機に地元に戻り、自分の店を出すことを決めた。
 久しぶりに戻った町は多くの建物が解体され、新築アパートが建つなど大きく姿を変えていた。避難指示が一部を除き解除され3年余りたつが、理容室は一軒もない。
 「髪を切るという生活の中での普通の行いを、不便を感じなくてもできるようにならないと」と思った草野さん。今年1月から、福島県広野町で避難生活を続ける家族の元で開店準備を進めてきた。
 店の場所は他県ナンバーの車が多く行き交う国道6号線沿いを選び、内装はアンティーク調の落ち着いた雰囲気を目指した。店内のプロジェクターで町の観光名所や復興に向かう町の様子が分かる映像も流そうと考えている。
 草野さんは「今の富岡だけでなく、原発事故前のことも発信していく。故郷の復興を長い目で見守り、店名の通りに多くの人が集まって、輪になるような場所にしたい」と話す。


2020年10月31日土曜日


先頭に戻る