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修学旅行は東北へ 6県の中学・高校、東京を回避 関東からの来訪も増える

修学旅行で気仙沼市波路上の市東日本大震災遺構・伝承館を訪れた寒河江市陵西中の生徒ら=10月6日

 新型コロナウイルスの影響で、東北6県の修学旅行を取り巻く動向が変化している。中学・高校の行き先は従来の主流だった首都圏や関西から東北域内や北関東への変更が相次ぐほか、実施を取りやめる学校も少なくない。一方、関東から東北を訪れるケースが増えているとみられ「東北の良さを知ってもらう好機に」との声も上がる。

 近畿日本ツーリスト東北(仙台市)によると、例年、東北の中学での実施時期は4、5月が中心で95%が首都圏に出向く。感染が拡大した春先に秋への延期を決めたものの、現時点で約4割が中止の見通しで、約6割は行き先を東北域内や栃木県に変更。宿泊日数を減らすケースも多い。
 高校は例年10〜12月に実施し、90%が関西方面だった。一部は東北域内に行き先を変更し、7割程度が中止の見通しという。
 「感染者が多い東京都を通過することすら避ける学校が多い」と、団体旅行販売部の川村哲也教育旅行担当部長。東日本大震災があった2011年でも中止はほぼなかったといい「コロナの影響は甚大なんてものではない。来春の修学旅行の中止も既に一部あり、先行きは不透明だ」と嘆く。
 日本旅行東北(仙台市)でも本年度、宮城県内から東京に出向く中学はほぼなくなり、多くが東北域内のほか栃木県日光市をはじめとした北関東や、北海道函館市などに行き先を変えた。
 高校は約半数が東北周遊などに行き先を変更。2割は中止を決め、残り3割は現在も検討中だ。岩手県や、山形県の庄内地方は中止が多いなど、地域による違いもあるという。
 文部科学省は10月、既に修学旅行を取りやめた場合も実施を再検討するよう促す文書を各県教委などに出したが、見直しの動きは乏しい。斎藤雅之取締役業務部長は「子どもにとってかけがえのない行事だけに残念だ」と話す。
 一方、東北に着目すれば域内の往来が活発になったのに加え、栃木、埼玉両県など北関東から訪れる学校も増えており「東北の良さを知ってもらうチャンスでもある」と受け止める。
 宮城県観光課によると、県外の団体を対象とし、学校の利用が95%を占める「みやぎ沿岸部団体旅行バス助成金」の本年度の申請件数は、山形県が30件(昨年度22件)、福島県が23件(8件)と隣接2県で増え、栃木県も27件(4件)と大幅に増加した。
 宮城県南三陸町の南三陸ホテル観洋では、8月末から21年4月末までの修学旅行生の宿泊申し込みは約1万4000人(9月時点)に達した。昨年実績の約1万1000人を上回り、特に栃木県など北関東と県内が増え、関西や中部からの申し込みもあるという。
 おかみの阿部憲子さんは「コロナ禍によるキャンセルの心配は今もあるが、語り部などによる震災学習が東北に目を向ける決め手になった」と確信する。「良い印象を持ってもらい、修学旅行の継続や観光で訪れる人の動きにつながってほしい」と期待する。


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2020年11月02日月曜日


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