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虐待や貧困で実親と暮らせぬ子、東北2000人超 厚労省、里親制度の普及図る

東北各県の乳児院、児童養護施設、里親家庭に暮らす子どもの数〔注〕2019年3月末現在の福祉行政報告例を基に作成
シンポジウムで、子どもが家庭で育つ重要性を語り合う草間氏(左端)ら=27日、衆院議員会館

 虐待や貧困といった事情で生みの親と暮らせない子どもが近年、東北6県で2000人超に上り、その7割以上が施設に入所している。子どもの心身が健康に育つには、落ち着いた家庭環境の中で特定の大人による養育が重要として、厚生労働省は里親制度の普及に力を注ぐ。

 乳児院と児童養護施設、里親家庭で暮らす東北各県の子どもの数は表の通り。うち、里親家庭に預けられている子どもの割合を示す里親委託率は、施設と里親の連携が進む宮城が全国上位に入る一方、秋田は施設頼みの傾向が強くワーストクラスにある。
 厚労省は10月を里親月間と定め、官民共同による広報イベントの開催や会員制交流サイト(SNS)を駆使した情報発信を集中展開している。法的に実親子となる養子縁組制度と誤解されがちな里親制度の正しい社会的理解の促進を図っている。
 全国里親会(東京)は27日、里親登録者や希望者向けの研修講座を実施。元厚労副大臣の高階恵美子参院議員(比例、宮城県加美町出身)が基調講演で「全ての命が大切に育てられる権利を持っている。里親は子どもが健やかに育つ社会のけん引役だ」と強調した。
 高階氏と首都圏の里親ら4人によるシンポジウムもあった。神奈川県に住む元里子の池田累さん(30)は「里親家庭は夢や希望をつなげる場所。高校時代、里親が自分に真剣に向き合ってくれたので、部活動の野球に打ち込めた」と振り返った。
 コーディネーター役は、東北福祉大に進学するまで茨城県内の施設で育った茨城キリスト教大非常勤講師の草間吉夫氏(54)が務めた。草間氏は自立に必要な知識の習得に関し「施設と違い、金銭管理を一対一で丁寧に教えられるのは里親ならではだ」と語った。
 厚労省は2021年度予算の概算要求に、里親制度の広報啓発事業費として本年度の2.5倍の2億1000万円を計上した。

[里親制度]児童福祉法に基づき、実親と暮らせず社会的養護が必要な子どもを家庭環境で育てる制度。里親には、原則18歳未満までの一定期間に里子を預かる養育里親、障害や非行行為といった課題がある子を預かる専門里親、3親等以内の親族による親族里親、預かった子との養子縁組を希望する養子縁組里親の4種類がある。児童相談所からの紹介で里子の委託が始まり、里親手当や養育費が支給される。


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2020年11月04日水曜日


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