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泥仕合の米大統領選、津軽選挙ほうふつ 半世紀前の町長選で「2人当選」の珍事

2人の候補者に当選証書が出された異常事態を報じる1971年5月4日付の河北新報朝刊

 大激戦で候補者2人がそれぞれ勝利を確信していると主張する事態となった米大統領選が、かつて首長選で2人の当選者を同時に出した青森県の「津軽選挙」をほうふつとさせている。当時を知る人は大統領選の2候補者に「しこりを残さないためにもクリーンな選挙と潔く負けを認めることが大事だ」と、経験に照らしてアドバイスする。
 「まるであの時みたい」。同県鰺ケ沢町の主婦(76)は、約半世紀前の1971年4月にあった町長選での珍事に思いをはせる。
 現職が477票差で新人との争いを制し、町選管は当選証書を交付した。1週間後、町選管は現職の得票に同一筆跡が592票あったとして、その分を無効と判断。新人にも当選証書を手渡した。
 主婦は「新人陣営が行列を作り『勝った』『勝った』と叫んで町を練り歩いていた。怖くて外に出られなかった」と振り返る。
 納得しない現職は新人の町役場への登庁を禁じる仮処分を青森地裁に申請し、地裁は登庁禁止の決定を出した。町選管委員長が新人を当選させるために同一筆跡という虚偽の事実を作り上げたのが真相で、公選法違反(投票増減)容疑で逮捕、起訴された委員長らは有罪判決を受けた。
 米大統領選も票の集計などを巡る法廷闘争になっている。町内の70代男性は「勝つか負けるかで生活に雲泥の差が出るのは、米国もきっと同じ。負けると本当につらい。勝った方が負けた方に配慮することが必要だ」としみじみ語る。
 町選管事務局の職員は「当時を知る職員はおらず、役場には記録が残るだけ。クリーンな選挙がいつの時代でも当然だ」と話した。


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2020年11月06日金曜日


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