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女川原発再稼働の議論わずか1時間 市町村長会議 首長の発言、1人2分に満たず

東北電力女川原発

 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、同県石巻市)の再稼働を巡り、村井嘉浩知事は9日、市町村長会議を仙台市内で開く。会議はわずか1時間の予定で、市町村長からは「議論するには短すぎる」と疑問の声が上がる。村井知事が「地元同意」の判断材料にする重大局面が、単なる儀式と化す恐れもある。東京電力福島第1原発事故の爪痕が県内に残る中、着々と進む段取りに首をかしげる市町村長は少なくない。

 会議は、村井知事が同意手続きの流れを説明した後、市町村長が意見を述べる。35人全員が出席した場合、首長1人当たりの発言は2分にも満たない計算だ。
 「普通に話しても1人3分は必要。再稼働でリスクの低減をどう図るのか、詳しい情報が示されていない」。猪股洋文加美町長は、時間を十分確保しない県の姿勢を問題視する。
 同町は、原発事故で生じた国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)を超える指定廃棄物最終処分場の建設候補地となった。指定廃は今も県内に散在する。
 猪股町長は「事故は隣県で起こり、県内に放射能の影響が残っている」と指摘。内陸部の別の町長も「宮城は隣の福島に寄り添うべきだ。(地元同意の)アリバイづくりには乗りたくない」と本音を明かす。
 2号機の再稼働について女川町、石巻市、県の3議会が容認した。沿岸部のある首長は決断を重く受け止めつつ、「会議では他の首長の考えに耳を傾けたい。1時間は短い。2時間あれば、全員が意見を言える」と県に再考を促す。
 原発5〜30キロ圏の5市町は2日、再稼働の賛否を含め、東北電への意見書の共同提出を見送った。5市町のうち涌谷町の遠藤釈雄町長は「時間を設定されると、発言をためらう首長もいるだろう」と予想する。
 重大事故時、30キロ圏の約20万人が県内31市町村に逃げる広域避難計画の実効性は課題の一つ。石巻市民を受け入れる大河原町の斎清志町長は「知事に避難路となる道路整備を(国に)要望するよう求めたい。ただ1時間はあっという間だ」と話す。
 会議で出た意見を、知事が重視する「県民の意思」と捉えること自体に異を唱えるのは、菅原茂気仙沼市長。「各首長が住民の声を吸い上げているわけではない。(再稼働への賛否を示すのは)会議にそぐわない」と主張した。


2020年11月08日日曜日


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