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ウニを二期作、冬も出荷へ 所得向上や磯焼け対策に期待 岩手県で月内にも実証事業

産卵期を前にした夏場のウニ。人工給餌で実入りを回復させれば冬場でも出荷が可能になる
実入りが悪い冬場のウニ

 岩手県は今冬、三陸沿岸のウニに人工的に餌を与えて出荷する実証事業に乗り出す。例年夏場にしか採らないウニを冬にも出荷する「二期作」の実現が目標だ。漁業者の所得向上と磯焼け対策の一石二鳥の効果が見込まれ、本格的な事業化に向けて期待が高まる。

 三陸沿岸に生息するウニの大半はキタムラサキウニで、例年6〜8月に出荷の最盛期を迎える。産卵期が過ぎて可食部の生殖巣がなくなった冬場のウニは通常、商品にならない。だが、県水産技術センター(岩手県釜石市)での実験の結果、人工的に餌を与えれば実入りが回復することが分かった。
 実証事業は県内4カ所の漁協に委託し、11月中に始める予定。海中のウニを集めて陸上や漁場で飼育し、水産加工場で出る海藻の端材などを餌として与える。実入りが回復すれば、来年の正月やひな祭りなど高級食材の需要が見込まれる時期に出荷する。
 三陸沿岸では近年、海水温の上昇などによって冬場にウニがコンブを食べ尽くす磯焼けが深刻化。加えて今年は新型コロナウイルスの影響で漁獲量が減り、県漁連の生ウニの販売実績は約7万4000キロで前年比15.4%減となった。漁場に多くのウニが残ったため駆除回数の増加が懸念されている。
 県水産振興課の阿部孝弘振興担当課長は「漁場にいるウニを出荷して磯焼けを防ぎ、漁業者の所得にもつなげて一挙両得を目指す」と強調。「餌や飼育方法は各地域のアイデアに応じたモデルを作ってもらいたい」と話す。
 県は10月27日に閉会した県議会9月定例会に関連事業費約1000万円を含む補正予算案を提出、可決された。本年度の実証事業で収支バランスなどを見極め、事業化可能と判断すれば、来年度にも本格的に始動させる。
 県漁連の佐藤浩文業務部長は「冬にウニを出荷できれば収入が上がり、観光面でも効果が見込める。磯焼けを解消できれば、アワビなど他の水産物の漁獲にもいい影響が出る」と期待を寄せる。


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2020年11月09日月曜日


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