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女川原発再稼働、生煮えの「地元同意」 拙速な知事判断、強引さも目立つ

女川原発2号機

 【解説】東北電力女川原発2号機の再稼働を巡り、村井嘉浩宮城県知事が東日本大震災の月命日に表明した「地元同意」は、消極的な容認の積み重ねにすぎない。政府から3月に再稼働への同意を要請されて8カ月。過酷事故を起こした東京電力福島第1原発の隣県として、人命と財産を守るべき県政トップとして、あまりにも早計だ。
 2号機は震災の揺れと津波で被災し、福島第1原発と同じ沸騰水型炉でもある。安全性について、より慎重な検証が求められるはずだが、原子力規制委員会の審査合格と、それを追認した県有識者検討会の報告を基に結論を急いだ。
 重大事故時の広域避難計画の実効性も課題山積。立地2市町が求める避難道路の確保、原発30キロ圏の約20万人を受け入れる県内31市町村の不安など枚挙にいとまがない。
 「原発がある限り事故の可能性がある」。村井知事は避難計画の改善を続ける必要性を繰り返すが、東北電の安全対策工事が2022年度まで続く中、なぜ生煮えのままゴーサインを出すのか。
 村井知事が意見をまとめる際の強引な手法も目立った。9日の市町村長会議は反対派だけでなく、賛否に悩む首長もいたが、知事は会場の拍手をもって「総意」とし、わずか2日後に同意。単なるセレモニーにおとしめた。
 再稼働を容認した女川町議会、石巻市議会、県議会も「もろ手を挙げて賛成の人は少ない」(ベテラン県議)。「原子力エネルギーは国策」を言い訳に「やむなし」との声が大勢を占めた。本音ではない、妥協の産物による拙速な決断は将来に禍根を残しかねない。
(報道部・布施谷吉一)


2020年11月12日木曜日


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