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「復興再考」第5部 村井県政(4) 仙台空港民営化/「24時間運用」実現探る

新型コロナの影響で利用が低迷する仙台空港。巻き返しに向けた模索が続く

 仙台空港(宮城県名取、岩沼両市)から、格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーションの桃紫の機体が沖縄に向けて離陸した。
 「希望に満ちた瞬間だ」。10月25日、空港を運営する仙台国際空港(名取市)の鳥羽明門(あきと)社長(58)が特別な思いで見守った。
 4月の就任後、初の路線開設。「進取の精神を忘れない」。新型コロナウイルスの収束が見通せない苦境にあっても、新路線の開拓を経営の生命線に据える。
 仙台空港は2016年7月、国管理空港の民営化第1号として一新された。宮城県が出資する第三セクターによる空港ビルの管理や航空貨物の取り扱いなどを仙台国際空港が引き継いだ。
 同社は旅客数に連動した着陸料制度を導入し、新規就航や増便への環境を整えた。台湾など海外にも積極的に営業をかけた。
 民営化後、国内線は1日6往復、国際線は週18往復増えた。旅客数も右肩上がり。東日本大震災前の10年度の262万人から、19年度は371万人に達した。
 あの日、震災の津波とがれきが滑走路を埋め尽くした仙台空港。民営化は村井嘉浩宮城県知事(60)が掲げる「創造的復興」の代名詞となった。
 「可能性を探ってほしい」。震災から半年の11年9月下旬、村井知事は、同じ松下政経塾出身の前原誠司元国土交通相に打診された。県経済商工観光部を中心に1週間で仕上げたたたき台を吟味し、知事は本格検討を指示した。
 「東北の国際的なゲートウエーを目指す」。村井知事が前面に立って国との交渉を繰り返し、14年4月に民営化が決まった。
 「全国初」の看板に、航空以外の多彩な業種も参入を希望。15年9月、東急グループが運営権を得た。決め手はLCCで需要を開拓し「30年後の旅客数550万人」を狙う野心的な提案だ。村井知事が目標とする「600万人」とほぼ一致した。
 岩井卓也前社長(58)は「知事が民営化に何を求めるのか、明確だった」と好感を持って受け止めた。15年11月の設立から会社の基礎を築き、空港と東北の観光地をバスで結ぶ2次交通の充実にも取り組んだ。「東北の需要は長期的に見て伸びしろがある」と期待する。
 「民営化の優等生」(県OB)を新型コロナが直撃した。本年度の旅客数は前年度の3割、120万人に落ち込む見通しだ。
 仙台空港を呼び水に高松、福岡、北海道内7空港、熊本の民営化が実現。先行者利益を十分に享受する間もなく、路線誘致の地域間競争にさらされる。
 難局を乗り切る鍵は、将来的な24時間化だ。地元と調整を始めて2年。知事と名取、岩沼両市長、鳥羽社長は今年8月、騒音対策を条件に地域振興策の議論に入る方針を確認した。
 村井知事が目指す「選ばれる空港」に24時間化は必要不可欠。震災前、運用時間の延長反対運動を続けてきた岩沼市矢野目地区は震災で壊滅的な被害を受け、工業団地化が進む。
 仙台空港は住宅が近接し、震災前まで「24時間化は不可能」とされてきた。震災を機に、県の悲願が現実味を帯びる。


2020年11月15日日曜日


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