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宮城県の3案 美術館移転新築は国起債で建設費圧縮、現建物の扱いネックに

宮城県美術館の移転断念について、モニターを使いながら定例記者会見で説明する村井嘉浩知事=16日、宮城県庁

 宮城県美術館(仙台市青葉区)を巡り、県は16日、民間コンサルタントに委託した調査結果を基に、リニューアル3案の利点と課題をまとめた。移転新築の場合、現地で増築、改修する他の2案より、整備後30年間の事業費が100億円以上削減できるとの試算が出たが、現美術館の除却という条件がネックに。費用面では移転新築案が優位だったが、現美術館の文化的価値も考慮し、県は現地存続を最終決断した。
 比較したのは(1)県民会館(青葉区)、みやぎNPOプラザ(宮城野区)とともに宮城野区の仙台医療センター跡地に移転・集約(A案)(2)現地での増築(B案)(3)現施設の改修のみ(C案)−の3案。県は委託先の日本総研(東京)から今月上旬に報告を受け、分析した。
 主な検討項目は表の通り。一般的な地方単独事業で実施した場合、工事費や維持管理費を含む整備後30年間の県負担額はA案が780億円、B案が840億円、C案が770億円と算出された。
 県は地方単独事業ではなく、公共施設の老朽化対策に充てられる国の「公共施設等適正管理推進事業債」を財源に活用する方針。
 この場合、A案は3施設の建設費約330億円を対象に起債でき、130億円の地方交付税措置も見込める。県負担額は650億円まで圧縮されるが、現美術館の撤去や譲渡、転用が必要となる。
 別の2案での起債可能なのは増築(60億円)と改修(30億円)に限られる。交付税措置率もA案より低く、県負担額はそれぞれB案830億円、C案760億円と見積もった。
 現美術館の建物や立地条件に関する評価も示された。近代建築の巨匠ル・コルビュジエに学んだ故前川国男氏が設計した建築的な価値、広瀬川や青葉山など周辺の自然環境も重視すべきポイントに挙がった。
 一方、移転・集約案は近隣に宮城野原公園総合運動場があり、多くの人々が集う場所としての利点、JR仙石線宮城野原駅がある交通の利便性が認められた。


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2020年11月17日火曜日


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