宮城のニュース

「県民の力が県政動かした」 宮城県美術館移転断念 反対訴えた市民ら安堵

市民が集まり、美術館移転の問題点を話し合った県美ネットの講座=10月31日、登米市の宮城芸術文化館

 移転か現地存続か。宮城県内外に大きな波紋を広げた県美術館(仙台市青葉区)の移転構想は16日、村井嘉浩知事による計画断念表明という急展開を迎えた。反対を訴えてきた市民は安堵(あんど)の表情を見せる一方、県議会11月定例会を目前にした唐突な決定に、政治的思惑を疑う声も上がった。

 「現地存続という民意を受け止めてもらえたのはうれしい」。市民団体「宮城県美術館の現地存続を求める県民ネットワーク(県美ネット)」共同代表の西大立目祥子さん(64)は胸をなで下ろした。
 同ネットは7月、県内8団体で設立。16日現在の会員数は16団体、2096人に上る。
 市民対象の現地撮影会やシンポジウムを仙台市内で開いた。移転の問題点や建物の特徴を解説する県内での出前講座の開催は計16回。参加者は計1000人を超えた。西大立目さんは「県民の力が県政を動かした意義は大きい。県の風土や建造物に対する見方が変わっていく始まりとしたい」とかみしめるように語った。
 「政治家としての面目を保つための決断だったのでは」。「宮城県美術館に期待と関心を寄せる有志グループ」事務局の佐立るり子さん(47)はいぶかる。
 知事が同意しながら、反対の声が根強い東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、同県石巻市)の再稼働を引き合いに出し「反発を避け強硬姿勢を和らげたようにも見える。増築なしの現地改修案が落としどころだったのでは」と推察する。
 前県芸術協会理事長の大場尚文さん(79)は「民意を尊重したのか、コスト面を精査した業者の検討結果を受けただけなのか、決定過程が不明だ」と指摘。「議論は振り出しに戻った。市民を中心に構想を練り、幅広い世代や業種の人々が異文化に触れられる開かれた美術館にしてほしい」と期待を寄せた。


関連ページ: 宮城 社会

2020年11月17日火曜日


先頭に戻る