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海藻の食文化、三陸から発信 マツモの陸上養殖事業化に挑戦

マツモの種苗の生育状況を確かめる阿部さん
陸上養殖に使われるマツモの種苗

 宮城県南三陸町歌津の建設業「阿部伊組」取締役の阿部将己さん(34)が、国内では珍しいマツモの陸上養殖の事業化に挑戦している。種苗培養や水槽での育成に成功し、マツモを使うバターの商品開発に向けクラウドファンディング(CF)を25日に始める。マツモの持続可能な生産と消費の実現を通じ、異業種から水産業に新風を吹き込む。
 マツモは三陸沿岸の岩場で冬に採れる海藻で、独特の風味とシャキシャキとした食感が特徴。供給が少なく、高級な海藻として珍重されている。20年ほど前に町内の海で試験的に養殖されたが、必要な面積の割に収穫量が少ないなどの理由で広がらなかったという。
 阿部さんはマツモの希少価値や食材としての可能性に着目し、2019年に事業化に乗り出した。北里大三陸臨海教育センター(大船渡市)との研究で海水を入れた水槽内で種苗を育てる循環型の養殖技術を確立し、今年4月に500グラムの収穫に成功した。「生育に適した水温管理ができるのが陸上養殖の利点。味は天然物と遜色ない」と手応えを語る。
 阿部伊組は東日本大震災後、町の防潮堤建設や公共施設の再建を手掛けた。震災から9年が過ぎ、震災関連の工事は終わりに向かっている。17年にUターンして家業に就いた阿部さんは復興後を見据え、「新たな産業の種をまき、地域経済を活性化させたい」と力を込める。
 水槽への種苗投入は今月中旬に町内で始め、来年2月中旬に10キロの収穫を見込む。テストマーケティングも兼ねて専用サイト「Makuake(マクアケ)」で実施するCFでは、マツモを使った「三陸海藻バター」を開発して返礼品にする。バターと魚介料理の相性の良さに着目し、海藻加工やバター製造の企業の協力を得て完成を目指す。
 将来的に養殖プラントを町内に建設することも視野に入れる。阿部さんは「日本が誇る海藻の食文化を現代の感覚で磨き上げ、三陸から発信したい」と意気込んでいる。


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2020年11月23日月曜日


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