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旅客船「ひまわり」を震災遺構に 気仙沼・大島の元船長「教訓次代へ」

ひまわりの前で佐藤大斗さん(中央)の肩に手を掛け笑顔を見せる菅原さん(右)。手前は利斗君

 東日本大震災の津波で孤立した宮城県気仙沼市・大島の住民の足として活躍した臨時旅客船「ひまわり」の一般公開が23日、始まった。船体は8月、元船長菅原進さん(77)が民間の震災遺構として残そうと大島の自宅敷地内に移設した。菅原さんは「命ある限り、相棒と共に津波の恐ろしさを伝え続ける」と意気込んでいる。
 ひまわりは本土と大島を結ぶ12人乗りの臨時船。震災時、菅原さんは襲ってくる津波の方向にあえて船を進め、波をかぶりながらも沖に出て流失を免れた。
 震災後に定期フェリーが復旧するまでの8カ月間、無償で運航し島民を助けた。2019年4月の気仙沼大島大橋開通後は廃船となる予定だったが、17年12月に市内外の有志による「保存する会」が発足。会員の寄付や慈善コンサートなどで約350万円の資金を集め、遺構としての設置が実現した。
 活動のきっかけは、3年前に市内小学校で菅原さんが震災の経験を語った講話だった。後日、6年生の児童から「橋ができてもひまわりを残して」との感想文が届き、保存の決意を固めた。
 23日に現地であった記念式典には、感想文を書いた気仙沼中3年の佐藤大斗(ひろと)さん(14)が、弟の利斗(りと)君(8)と出席。大斗さんは「津波に立ち向かったひまわりを残してほしかった。弟のように震災を知らない人もいる。形として記憶を伝えてほしい」と話した。
 菅原さんは「全国から支援を受け、この日が待ち遠しかった」と涙ながらに船体に手をやり、「世界中の人に訪れてほしい。自分の経験と、津波が来たら一目散に逃げるんだという教訓を伝えたい」と語った。
 見学は午前10時〜午後5時。保存会は12月末まで、敷地内の通路などを整備する資金をクラウドファンディング(CF)で募っている。問い合わせはひまわりホームページの専用フォームで受け付けている。


2020年11月24日火曜日


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