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【復興ロードの行方 三陸道・仙台―気仙沼直結2】観光戦略を練りルート定着へ

観光客でにぎわう気仙沼市大島の商業施設「野杜海(のどか)」。奥は大島ウェルカム・ターミナル=22日

 3連休中日の22日、気仙沼市・大島の観光拠点施設「気仙沼大島ウェルカム・ターミナル」。約90台分の駐車場は、ほぼ満杯状態が続いた。仙台や関東地方のナンバーも目立ち、多くの観光客でにぎわっていた。
 ターミナルは6月に本格開業した。新型コロナウイルスの影響で約3カ月遅れたが、8月には2万人以上が来館し、その後も客足は堅調だ。
 2019年の市の観光客数は、前年比約99万3000人増の249万4000人に上った。同2月に三陸沿岸道で市と仙台市が2キロを除いて直結。同4月には気仙沼大島大橋が開通し、記録的な集客増につながった。
 21日には残り2キロ区間が開通し、市中心部と仙台が三陸道で直接結ばれた。来年3月には雄大な景色が望める気仙沼湾横断橋が開通する。来春には市内をロケ地とするNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」が放送予定と、人を呼び込む材料はめじろ押しだ。
 「撮影場所を聞かれるなど、既にドラマの効果を感じる」と、ターミナルの気仙沼大島地場産品出荷・販売組合の斉藤仁事務局長(56)は話す。市街地は三陸道から続く仙台東部道路の仙台空港インターチェンジ(名取市)ともつながり、全国から集客を期待する観光関係者の鼻息は荒い。
 新型コロナの影響は見通せないものの、東日本大震災から10年となるのを前に「観光バブル」ともいえる状況。ただ、市外へのPRや受け入れ態勢を巡り、一枚岩になり切れていないと危惧する声もある。
 「どこを観光しどこで食事をするか、プランが具体的に見えない」。気仙沼の観光について、近畿日本ツーリスト東北(仙台市)の荒井秀介(ひでゆき)団体旅行販売部長(56)の見方は手厳しい。
 気仙沼では東日本大震災の津波で被災し、2014年7月に再開した市魚市場前の観光施設「海の市」を皮切りに、各地で観光関連施設が開業してきた(表)。
 トレッキングコースや震災伝承施設など、多彩なコンテンツがそろう。だが、施設は南北に長い市内各所に点在。ある観光関係者は「唐桑、本吉、大島にそれぞれ観光協会があり、客を奪い合っている側面もある」とこぼす。
 南に隣接する南三陸町。16年10月に三陸道で仙台と直結した後は、コンパクトな町の特性を生かし着々とファンを増やす。仙台からの所要時間は約90分と、気仙沼より30分ほど短い。
 町観光協会の及川和人事務局長(40)は「午前に仙台を出て、さんさん商店街でキラキラ丼を食べる。そんな流れが定着してきた」と手応え十分だ。
 本来はライバル同士の飲食や宿泊事業者の情報を協会が束ね、仙台などへ一体的に売り出す戦略が奏功してきた。及川事務局長は「まずは南三陸に来てもらうことが大切だと、成功体験を通じて各事業者が共有できている」と言う。
 南三陸町だけではない。北隣には「奇跡の一本松」のある陸前高田市がある。気仙沼は横断橋を渡るだけの「素通り」とならないために、効果的な戦略をどう構築するか。
 気仙沼観光コンベンション協会の臼井亮(まさる)事務局長(47)は「エリアで魅力が異なるのが気仙沼の持ち味と捉えたい。地域や施設の枠を超えて、何度も訪れたくなるような観光メニューを打ち出したい」と話す。


2020年11月25日水曜日


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