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【復興ロードの行方 三陸道・仙台―気仙沼直結4完】BRT定着、鉄路の復活遠のく

関係者に見送られ出発する仙台―気仙沼間の高速バス直行便第1便=22日午前6時55分ごろ、気仙沼市のJR南気仙沼駅

 宮城交通グループのミヤコーバス(仙台市)は、仙台−気仙沼間の高速バスに「直行便」1往復を新設した。三陸沿岸道で仙台市と気仙沼市中心部が直接、結ばれたことを受けてのことだ。

 気仙沼市の利用者から「もっと早く(仙台市青葉区の)東北大学病院に着きたい」などの要望があったという。午前6時55分、南気仙沼駅発と、午後4時35分、県庁市役所前発。片道の所要時間は今までより約15分短い2時間50分で、三陸道に乗る直前の停留所(田谷本郷)からだと2時間18分だ。
 22日早朝にJR南気仙沼駅であった第1便出発式で、ミヤコ−バスの柴崎武彦社長(59)は「車を運転しない人のためにも、仙台への基幹交通として役割を果たしたい」と力を込めた。
 三陸道を使ったバスの利便性が高まったことにより、鉄路・JR気仙沼線の復活は遠のいたようにも見える。
 「今の国策は道路の方が比重が高い。鉄路の予算が食われてしまった」
 気仙沼線の鉄路復活を目指す「三陸沿岸を鉄路でつなぐ連絡協議会」事務局長の内海勝行さん(76)=気仙沼市=はため息をつく。

 震災前、仙台−気仙沼間の直通快速列車は片道約2時間で走った。これを元に気仙沼市は2016年に気仙沼線のバス高速輸送システム(BRT)での本格復旧を受け入れる際、鉄路時代と同水準の仙台へのアクセス性確保をJR東日本へ要望した経緯がある。
 三陸道延伸で車による仙台、気仙沼両市役所間の所要時間は約2時間に。計算上はかつての直通列車と同じだ。バスも3時間を切る。それでも内海さんは「渋滞に巻き込まれない鉄道の定時制には及ばない。三陸道延伸と鉄路復旧は別の議論だ」とくぎを刺す。市もJR側に鉄路復旧の可能性を残すよう求め続ける。鉄路復活を諦めてはいない。

 鉄路に代わるBRTは、「生活の足」として定着した。ただし「JRも民間企業。赤字が続けば維持されるとは限らない」。筑波大の石田東生名誉教授(69)=交通政策=が警鐘を鳴らす。
 BRTの気仙沼線は17年11月、専用道を走る正規ルートから外れた国道45号沿いにある市立病院に「市立病院駅」を設置した。市の要望を踏まえ、「実証運行」として1日14便が停車した。
 経路を柔軟に変更できるBRTの利点を生かした新駅設置だったが、19年9月までの平日の乗降客は1日平均20人以下にとどまった。今年3月からの「本運行」では、停車本数が1日6便に減った。
 どうすればBRT運行の安定化を図れるか。高速バスとスムーズに連結するダイヤ調整や、交通手段・宿泊の予約から決済までをスマートフォンで行える「MaaS(マース)」の導入、観光への活用など「生活の足」を超えた幅広い観点での検討が求められる。
 石田名誉教授は「三陸道による人の動きも念頭に、住民や商工業者らが主体的にBRTの活用策を考える場を設けることが最も重要だ」と訴える。

[JR気仙沼線] 前谷地(石巻市)−気仙沼(気仙沼市)間の約73キロ。1977年に柳津(登米市)−本吉(気仙沼市)間が完成し全線開通した。東日本大震災で被災し、2012年8月から柳津−気仙沼間(約55キロ)をバス高速輸送システム(BRT)で運行する。


2020年11月27日金曜日


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