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津波被災の古文書、修復が完了 仙台のNPOが9年半作業 石巻・雄勝の葉山神社

最後に修復した古文書の内容について語り合う佐藤准教授(左)と千葉宮司=宮城県石巻市雄勝町の葉山神社

 東日本大震災の津波で被災した宮城県石巻市雄勝町の葉山神社が所有する古文書計約500点の修復が終わった。作業を担ったNPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク(仙台市)が2日、最後の8点を返却した。地域の成り立ちや国指定重要無形民俗文化財「雄勝法印神楽」の伝承に関する史料が約9年半をかけて全て修復され、関係者は歴史継承への決意を新たにしている。
 葉山神社は津波で社殿と社務所が全壊し、社務所の古文書や神楽の道具が流出した。2011年3月下旬、神社から約1キロ離れた船着き場に社務所の屋根が漂着しているのを住民が発見。水圧で押し上げられた畳と屋根の間から神棚や天袋などに保管していた古文書が見つかった。
 ネットワークは11年6月に神社から石巻市教委を通じて依頼を受け、千葉県白井市郷土資料館のボランティアらと連携して修復を開始。ぬれてくっついた和紙を一枚一枚剥がし、はけで細かい泥を落とす地道な作業を繰り返した。
 修復された古文書は神社の祭典や地名の由来を記したものが多く、古いのは1660年代にさかのぼる。約250年前に神楽の作法や演目などをまとめた「御神楽之大事(おんかぐらのだいじ)」も含まれる。
 ネットワークの事務局長で東北大災害科学国際研究所の佐藤大介准教授(史料保存学)は「現在の神事で使われている重要な文書もあった。比較的早く救い出せたので良い状態で返却できた」と言う。
 ネットワークには津波で被災した写真や文書など約10万点が寄せられ、約2割を所有者に返している。
 石巻市雄勝半島の南側中腹にある神社は2015年9月に再建された。宮司の千葉秀司さん(42)は「一時は残せないと思ったものが戻ってきて感謝でいっぱい。責任を持って地域の歴史をつなぎたい」と話した。


2020年12月03日木曜日


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