行政のデジタル化/従来の延長超え抜本策を。
この記事は2020年08月07日配信。
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 新型コロナウイルス感染症をめぐる対策で明らかになったのは、行政などのデジタル化の遅れだ。7月17日に決まった政府の経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)では、デジタル化推進が大きな柱となり、この1年を「集中改革期間」として、「10年かかる変革を一気に進める」とうたう。ただ、これまでできなかったことをどう進めるかは見えない。
 新型コロナ対策では、国民に一律10万円を支給する「特別定額給付金」で、オンライン申請に必要なマイナンバーカードのシステムがダウン。申請時は、地方自治体が誤入力や二重申請などをチェックできず、手作業に追われた。
 雇用調整助成金のオンライン申請は、他の申請者の情報が漏れるトラブルなどで運用が停止。感染症の患者発生時、医療機関が保健所に手書きファクスで報告する仕組みは、世界的にも話題になった。
 骨太方針では「行政の情報システムが国民が安心して簡単に利用する視点で十分に構築されていなかった」「国・地方自治体を通じて情報システムや業務プロセスがばらばらで、地域・組織間で横断的にデータも十分に活用できない」などの課題を挙げた。その上で、デジタル化への集中投資を掲げ、とりわけ行政面で「デジタル・ガバメント(デジタル政府)」構築を「一丁目一番地」の政策課題とした。
 ただ、政府は既に2000年、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)を制定、翌年には「e−Japan戦略」を策定している。12年に置かれた「内閣情報通信政策監(政府CIO)」は、翌年、「政府全体のIT政策および電子行政の司令塔」として法的に位置付けられ、同年には「世界最先端IT国家創造宣言(その後「デジタル国家創造宣言」に)」が出された。
 国の情報システム関係予算は、15年度から19年度までで3兆2100億円にも達するという。制度、組織、予算を伴い、長年取り組んできた。
 西村康稔経済再生担当相は記者会見で、これまでとの違いについて、今回のコロナ禍での「国民と政府の意識の変化」を挙げ、「同じこと(失敗)を繰り返すわけにはいかない。できなかったら、もうこの国はおしまい」と危機感をあらわにした。
 方針では、「遅れや課題を徹底して検証・分析」するというが、各省庁や自治体がいくらデジタル化を進めようとしても、現在の仕事の延長線上では「同じことの繰り返し」となりかねない。
 行政のデジタル化は手段にすぎない。目的は利便性向上や格差の解消など、国民の利益だ。今回の失態を教訓に、デジタルでの最適化に合わせて、行政の仕事や手続きを抜本的に見直す危機意識を持ち、迅速で効率的な取り組みが求められる。
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